終日クルージング

                                                  松本倶之

クルージング朋友画報

船の揺れはない。

今日はどこにも寄港せず、終日クルージングの日である。
エーゲ海を抜け、次の寄港地に向けアドリア海をひたすら北へ針路をとる。
船の揺れはまったくない。



日焼けしてサウナとはしご船揺れず      圭介



大型客船を実感
船客の人々は思い思いの過ごし方を楽しむ。

日中は日光浴、ジョギング、プール、ジム、サウナ、
ゲーム、夜はダンス、カジノ、観劇、等々。
2,700人の乗客を飲み込んで余りある大型客船であることを実感する。

雲流る美術の謦咳プールぎわ    圭介



紫煙を揺らす
昼間、屋上展望デッキでパイプ椅子に腰掛け、人々の様子を眺めながら、
ゆったりと紫煙を揺らす。頭の中は空っぽ、至福の時だ。

スモーキングフレンドでもあるTさんがひょっこり現れる。
いわく、「蛇の道はヘビだね」。どこに灰皿が置いてあるか、
お互いちゃんと嗅ぎ付けるからである。


ウノ・デユオと金髪の娘汗が飛ぶ   圭介



肌焼きが好き 


日光浴のことだが、欧州の人は老いも若きも、スリムもトドも、
どうしてこんなに肌焼きが好きなんだろう。

年間の日照時間が少ないからだと聞いたことがあるが、
紫外線の影響などどう思っているのだろうか。

そんなことはどこ吹く風とばかりに強い陽射しをむさぼり浴びている。
もっとも、目の保養をさせてくれる若くてスリムな
金髪碧眼のビキニ女性は少なかったな〜。

デッキにて上向きうつ伏せ昼寝すと   圭介



フォーマルディナー 


夜は背広にネクタイ着用のフォーマルディナーである。
こんな服装はOBになって何年ぶりだろうか。

「ネクタイの締め方を忘れたよ」と苦笑したHさん、
まんざらでもなさそうにテーブルに向かう。

テーブルの着席はツアー同行の別の仲間と一緒だ。
顔ぶれは毎夜異なる。



 スーツケースを紛失
三姉妹の一人からエピソードを聞く。出発の日、
成田ターミナルに宅配便で送ったスーツケースが届いていなかった。

だからドレスアップの正装が出来ないという。
もちろん補償はしてくれるそうだが、え?そんなことあり?とびっくり。
こちらも今後、万一のことを考えておくべしだ。


童心に借り物競走プール際   圭介



 片言英語の会話


この旅で惜しむらくは、
乗客で最も多いイタリア、ドイツ、フランスの人と
片言英語でも会話するチャンスがなかったことだ。

もっとも、相手も英語は苦手だろうから、
ま、今回はそれでいいかとひとりで合点する。


初夏のショウノーフラッシュにノー英語   圭介