地と模様を超えるもの




高野圭介



 
実利と厚み。そして模様・・・地取りのすすめ


一般に、定石という双方満足という分かれは「隅に根を下ろしながら,

中央を塞がれないで首を出している」姿と見ます。
とは言え、変化の果ては「地と模様」に分かれていく。

さて、碁で「厚み」とは・・・「壁がしっかりしていて強い」
 では「実利」とは・・・「地を持ってしっかり生きている」
この2つのことは
「眼形がしっかりしていて強い」のとは同じことを言っていて,
共に「攻められない」ということに過ぎません。

 ここに新しい認識「地を取ることは厚い」をしっかり知ることです。
ただ、「現実性と可能性の対立」して捉えられるべきものでしょう。

 具体的に、
小林光一の「地下鉄の碁」の本質は「的確な方法で地を取る。
その地が厚みとしてやがて盛り上がってくる。」なのです。

 碁の中・外を上・下とでも言うならば,
「石が上に行くように打てば盛り上がって良いが、下に行くようではみみっちい」
というものでは無くて,
「上を打ちながら下を思い、下を打ちながら上を視野に入れる」
であります。

この表裏一体の、多面性が碁というゲームの本質と言えます。