コンピューターの囲碁 「コンピューターが創っているから、人間にはその中身が分からない」 高野圭介 |
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バークレー校 コンピュータ部 |
1980年代のこと、アメリカ人・ブルース・トムソン(Bruce Tomson)と話した中身である。 その前に、彼を紹介するが、ブルースはカリフルニヤユニバーシティ・ バークレー校コンピュータ部卒で、今はサンフランシスコ在住である。 アメリカの囲碁の一部はこのバークレー校コンピュータ部が中核となって導入されてきた。 その中に、後にアメリカのチャンピオンとして世界アマにやってきたネド・フィップスや、 今なお活躍中で親日家のハープ・ダウティも居る。 また、「パンダネット」の元:IGS(Internet Go Server)は私の親友: マーク・オカダがパソコン・アップルを駆使しての創作になるものだ。 |
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パターン認識 | 当時、コンピューター囲碁の成り立ちやその将来についての ブルースの見解は面白かった。 コンピューター囲碁は「パターン認識で組み込まれていくのだろう」 また 「まだまだ初期の段階だから将来については分からない」と。 |
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コンピューターを 知らんのじゃ |
その後、囲碁とコンピューターの関わりはいよいよ深化してきた。 大阪に囲碁教育研究会がある。たまたま参加したある日のこと、 先端技術工学の権威・小山正樹先生から興味津々の発言があった。 「囲碁は変化が多くて、コンピュータがプロ棋士に追いつき追い越すような ことは考えられないと聞くが、その人は本気でそう言っているのだろうか? プロ棋士がコンピューターに勝てなくなるのはそんなに遠い話では無い。 その暴言はコンピューターを知らんのじゃ」 |
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電話から パケット通信から ネット碁へ |
私自身はインターネットの碁をサンサン・将碁・Pnda-Netで打っているし、 碁のソフトも天頂とか銀星囲碁で打っている。 現在の状況は現実のものとして対応しているから、 そのP進歩の程はいずれの場合でも解っているつもりだ。
やがて、ネット碁は全部が全部、今のようなインターネットになった。 今では全世界のネット碁の通信料に甲乙は無い。 その辺りは 「インターネットで囲碁を楽しむ」浅井忠著1999年刊に詳しく伝えられている。 |
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ゲームと コンピューター |
はこだて未来大学教授・松原仁先生のお話である。 コンピュータに将棋をさせて、プロの棋士に勝つ。そんな目標を据えてから 多くの棋士とコミュニケーションを交わしてきた。 羽生善治さんには、さまざまなイベントにも協力してもらって、 コンピュータ将棋が人間に勝つ可能性が見えてきたと言う。 今、松原先生の関心が向かっているのが囲碁。 盤上でどこに打ってもいい囲碁は、将棋以上に複雑なゲーム。 「今は本当にボロボロ。まだまったく未知数で、 難しいからこそ、面白いんです」。 |
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松原仁先生 北海道銀杏会 第20回講演会 より |
ここまで来た人工知能 (1)人工知能の先駆けは、コンピュータチェスでした。 1950年頃は、どうしようもなく弱かったものが、1980年代にはプロレベルとなり、 1997年には世界チャンピオンに勝ちました。 (2)コンピュータ将棋は1975年頃に研究がスタートしました。 ようやく1990年代にアマ有段者 レベルになると、2000年代にはアマ高段者レベル、2010年には 女流プロに勝利、2013年にはプロ棋士に勝ち越すまでとなりました。 コンピュータ将棋の開発には、ご自身も5段の免状をお取りの松原教授が、 羽生棋士の協力も得て取り組まれました。 (3)コンピュータ囲碁は1960年代に研究が始まりましたが、 チェスや将棋に比べて難しく、まだアマ高段者レベルです。 トッププロに勝つのは10年先の2025年頃と予想されています。 |
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定式を創っていく | 私には詳しいことは分からないが、従来のコンピューターは、 一つの定式を与えれば、その定式に沿って答えを出していた。 今のコンピューターはその定式自体をコンピューターがやり、定式を創っていく。 碁でも将棋でも、プロ棋士顔負けの手を創ってくる。でもコンピューターが なぜその手を選んだかはプログラマーにも分からないのだそうです。 つまり、「コンピューターが創っているから、人間にはその中身が分からない」 そんな時代となりました。 |