妖怪とゴゴゴの碁打ち

                                                             高野圭介
 

「ゲゲゲの女房」




昨今の「ゲゲゲの女房」(NHKの朝ドラ)が面白い。

もう10年も前だったか、出雲は境港へ行ったとき、
鬼太郎の妖怪どもがメイン通りを埋め尽くしているではないか。
その妖怪達が毎朝、私のテレビに載って、やってくるようになった。

「ゲゲゲの女房」は
漫画家の水木しげる(88)の妻、武良布枝(78)の自伝をもとに、
夫妻の激動の人生を描く。

視聴率は
松下演じる布美枝が向井理(28)扮する村井と結婚した5月以降、18%を超えた。
7月からは朝ドラでは久々の20%を超えたという。何とも言えない楽しさだ。


欄柯(ランカ)



 

碁の最もポピュラーなのは
仙人や童子の出てくる欄柯[中国の伝説]である。

何でも、中国は晋の時代、王質という樵夫が、
見知らぬ山奥で、四人の童子がしきりに 碁を打っているところへ行き当たります。

碁は勝ったり負けたりで決着がつかず、
王質は身を乗り出して勝負の行方に見入ってしまいます。
やがて、お腹がすいてきましたが、童子は自分たちも食べているナツメの実を
時々口に入れてくれ、これを食べると、空腹感が満たされました。

そうこうしてる内に、
童子に「お前は帰らなくていいのか?」と聞かれ、しぶしぶ腰を上げた王質が、
傍らの斧を手に取ると、斧の柄はボロボロに・・・。

欄柯(ランカ)とは、爛(ただ)れた柯(柄)という意味で、
この話から、碁のことを欄柯というようになった。


ヒカルの碁の佐為




最近は「ヒカルの碁の、佐為」です。

ヒカルと佐為の出会いやアキラとのライバル関係を描いた第一部「佐為編」
その後のヒカルの活躍を描いた第二部「北斗杯編」となっている。
囲碁を小学生・中学生を中心に浸透させ、囲碁ブームを引き起こした。

中には関達也初段(平成元年生まれ)のように、
この作品をきっかけに囲碁を始め、プロ棋士になった者もいる。


恒例のボウクリ会の句会で、誰かが(忘却)次のような句を詠んだ。

困ったな佐為よ出てこい未だかいな    読み人知らず


囲碁師亡霊図




碁に関する妖怪はいろいろあるようで、囲碁資料蒐集家で、
囲碁雑学博士・水口藤雄は『囲碁博物誌』の中で「囲碁と亡霊・怪談ばなし」に、
吉備真備が阿倍仲麻呂の亡霊に導かれて碁を打ったとか、
大阪の幽霊博物館にある「囲碁師亡霊図」などを紹介されている。

囲碁師亡霊図は黒白の碁石が散乱する碁盤の下から、
血まみれの座頭が化けて出る光景を描く。


囲碁の勝負をめぐるいざこざから、
囲碁師が藩主に切り殺される一幕に始まっていたとされる亡霊の図である。


『浮世絵と囲碁』



 

『浮世絵と囲碁』ウィリアム・ピンカード著には仙人のようなお化けから、
数え切れない程の生活に溶け込んだ
囲碁の道具や対局場面を描いた浮世絵など、
いわゆる
囲碁図を次の目次からご覧下さい

『浮世絵と囲碁』

「仙人・・琴棋書画・・
関羽将軍・・吉備大臣と唐の宮廷・・光源氏・・
頼光と土蜘蛛・・碁盤忠信・・金閣寺・・児雷也・・美人画・・
暮らしのなかの囲碁・・浮世絵師別索引 」



ゴゴゴの碁打ち



♪♬♫

ゴッゴッゴゴゴのゴ
朝は寝床で勝った夢
楽しいな 楽しいな
碁打ちにゃ盤のまえ
いつでもどこでもいい
ゴッゴッゴゴゴのゴ
みんなで歌おう
ゴゴゴのゴ

♪♬♫


話は戻るが、水木漫画には碁のお化けが未だ出てこない。

碁を知らずに一生を終わる人は不幸である。
碁を覚えた人は程度の差こそあれ、
例外なく碁キチである」


三木 正

願わくば水木しげるに何とか碁の世界を垣間見る機会を作って
碁吉になってもらう手立てはないものか?
そして、
水木漫画に佐為のような、あるいは他の碁の妖怪か、出てきて欲しい。

ゲゲゲの女房からの替え歌・「ゴゴゴの碁打ち」を紹介しておきます。




♪♬♫♩ 「ゴゴゴの碁打ち」♪♬♫♩

碁打ちにゃ楽し・ごきち賛歌

高野圭介作