音の空間認知


                                           高野圭介

 空間認知
空間認知とは

空間認知は視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚の五感すべてに関係している。
空間認知において最もその役割が大きいと思われるのが視覚である。



大阪信愛女学院チャペル:音により訴える空間づくり

音空間認知機能 
物や景色を見るときに片眼で遠近感を、そして両眼で立体感を捉えるように、
私たちは音を聞くときに「音のある空間」を立体的に聞き取っています。
前後左右、上下など音の方向を捉えるには左右の耳から入ってくる音の
時間差や音圧差などが手がかりになります。



音空間認知機能は両耳間の自然な音圧レベルの違いを保ち、音源定位をしやすくします。

両耳間時間差 (interaural time difference, ITD) とは、
ひとつの音源から発する音が左右の耳にとどく時間の差のことをいう。
音源が正面より左側にあれば左耳に先に到達し、
正面より右側にあれば右耳に先に到達する。


両耳間時間差と両耳間強度差とは比較的容易に制御できるため、
1960 年代あるいはそれ以前からよくつかわれてきた。

人は周りの音を左右それぞれの耳で聞いて入ってくる音の強さと、
時間差を比較して「音の方向」を認知しています。

 音の方向
なぜ私たちは音の聞こえてくる方向がわかるのでしょうか。

それは簡単にいうと「耳が二つあるから」で要は、左右の耳それぞれに
聞こえる音音量と時間の微妙な差を認識して判断しているということ。
ただ、これは単純なことのように見えて、実は意外に複雑な仕組みになっています。

人の耳は音による三次元的な空間認識が出来ません。
左右のどちらから聞こえているのか、という一次元的な認識しか出来ない。

首や体の向きを変えたり、音源が動くことにより、擬似的に前後上下の
どの方向から聞こえているのか察知したり、音源を目で確認する事により、
その方向から聞こえているように錯覚することは出来ますが、
体の向きと首の向きを固定し目をつぶったままでは
前後上下のどの方向から聞こえているのか判別する事は出来ません。

 左右の補聴器


「音空間認知機能」を搭載した補聴器は、左右の補聴器が
(両耳装用が原則)ワイヤレスで高速通信し合って自然な
音圧差、時間差を保ちながら増幅し、
より音の方向感が出るように設計されています。

また雑音の多い中でも両方の補聴器が情報を共有して自動的に
雑音を抑えて音声をより聞きやすく調整してくれます。