二人零和有限確定完全情報ゲーム


万物はゲームで動く   ヘラクレイトス


 学者とはおもしろいことを考えるものである。
二人零和有限確定完全情報ゲームというのがある。囲碁がこの範疇にあるというのだ。

                                     2017年4月       高野圭介

先手必勝

or

先手有利


二人零和有限確定完全情報ゲームという呼称は
ゲーム理論によるゲームの分類のひとつである。

チェス・囲碁・将棋・チェッカー・オセロ・石取りゲーム・囲碁・連珠・など、
偶然(運)に左右されないゲームが相当する。



これに分類されるゲームの特徴は、理論上は完全な先読みが可能であり、
双方のプレーヤーが最善手を打てば、
必ず先手必勝か引き分けかが決まるという点である。

実際には選択肢が多くなると完全な先読みは困難であるため、
先手有利ということはあってもゲームとして成立する。


ゲームとは


ゲーム(英: Game)とは、遊びや遊戯と訳される。

あくまで、楽しめるものでなくてはならない。
それにはゲーム自体の面白さが要るのだが、
進行上幾ばくかの制約が不文律の上で出来ている。

プレーに当たっては個人個人の適性というものがある。
俗に「博才」とか「運動神経」とか言ったりして共に天性とも言われ、
インドアでは双六・トランプ・カルタ囲碁・将棋などが共通していることが多い。

同様にスポーツでも殆ど共通点があって、種目は違っても身のこなし、
持久力、対応性など、適性がハッキリしていることが多い。



ゲームをインドアとアウトドアに分けて、インドアでも盤上ゲームを対象に考える。
今、インドアの盤上ゲームについて分析すれば以下の五つの部門に分けられる。



1.競争ゲーム・・・・双六(サイコロ)
2.配列ゲーム・・・・5目並べ(3目並べ)
3.戦争ゲーム・・・・将棋・チェス(マス目を動く) 跳び越したり挟んで取る
 4.包囲ゲーム=狩猟ゲーム・・・・囲碁(マスの線上を動く)
駒を上下左右から包囲して動けなくする。
 5.マンカラ・ゲーム・・・日本では無縁


二人零和有限確定完全情報ゲームを詳説する。

1.二人



囲碁・将棋などで、ポーカーや麻雀は別のジャンル。


2.零和


ゲーム終了時にプレーヤーの得点の合計が必ず0になること。
即ち、一定の数値(零和)となるゲーム。

+ - = ゼロ

ルーレットのようなカジノで行うゲームでは、各プレーヤーの利得の合計は
必ずしも0あるいは一定の数値になるとは言えないため、零和のゲームとは言えない。

将棋やチェス、囲碁のような二人ゲームで、終了時の状態が
プレーヤーからみた場合、勝利、引き分け、敗北となるゲームについては、
やはりその組み合わせの利得も合計は0となる。


3.有限

 
そのゲームにおける各プレーヤーの
可能な手の組み合わせの総数が有限であるゲーム。
反復が無限に繰り返されない限り有限のゲームとなる。

囲碁では日本囲碁規約の規定上は
三劫以上の多元劫、長生、循環劫などの状態になった場合、
対局者が合意しないと勝負は無限に継続されるため、
厳密に言えば有限なゲームではないが、
実際にはほぼ有り得ないことであり、ゲーム研究では有限として研究されている。

将棋やチェスに関しては、同一の状態が反復される千日手があり、
将棋でもチェスでも反復回数がルール上の規定数に達すると
引き分けとなって終了するか、あるいは一方が手を変えなければならない
規定があるため有限性は保たれる。

将棋の持将棋でも両対局者の確認と承諾を必要としているため
合意が形成されない場合、対局が非現実的な長さに
継続することもありうるが理論上は有限性が保証されている。


有限の要件

 
有限の要件とは以下のような要件を指す。

1.限られた一定の空間(盤の形、造りなど)
2.限定された駒の数量
3.限定された時間・手数



*中でも時間の問題。

最も適した時間は、1ゲーム1時間半。長すぎるとダレてくる。かといって、
1時間では短過ぎて欲求不満。2時間は長すぎる。
映画・音楽会も同様で、碁・将棋では大会では普通持ち時間45分計90分。
学校の授業は児童・生徒の場合は全て45分。学生は90分。
サッカーは45分2回。計90分。
こうしてみると、1時間半という時間は凄い時間だ。


 *手数について

行う回数はほぼ100回(手)ぐらいが適切。
但し、1ゲームをずつ区切りを付けて数回はOKである。
囲碁は100手前後で優劣が決まってくるし、
将棋チェスなどは100手ぐらいで終わる。
麻雀の1回の捨て牌は15回ぐらいで上がるとして、東南で50牌打つ。
東南回しで100牌。それが半張回しの出来た理由ではないか。


4.確定

 
 
プレーヤーの着手以外にゲームに影響を与える
偶然の要素が入り込まないという意味。



ポーカーなどのカードゲームの一部や麻雀のように、
ランダムに積み上げられた山から何かを引くようなゲーム、
あるいはバックギャモンなどのサイコロでランダムにコマを進める
双六系のゲームは、不確定ゲームに分類される。

人生ゲームもルーレットで確率要素が介在するので不確定ゲームである。


5.完全情報

 
各プレイヤーが自分の手番において、これまでの各プレイヤーの行った
選択(あるいは意思決定)についてお互いが全ての情報を知ることができるゲーム。

将棋やチェス、囲碁、オセロなど多くのボードゲームでは、
各プレーヤーが他のプレーヤーの状況を常に把握でき、
また、どのような手を指したのかも明確にわかるため完全情報ゲームといえる。
普通の双六も偶然の要素は含むものの、完全情報ゲームである。

麻雀やポーカー等のカードゲームの多くでは、
各プレーヤーの手牌や手札を他のプレーヤーが見ることができず、
他のプレーヤーがどのような状況でその牌やカードを切ったのかを
知ることができないため不完全情報ゲームとなる。

じゃんけんのように各プレーヤーの手が同時に指されるゲームでは、
自分の手を決定する際に、相手の手を見てから選択することができないため、
不完全情報ゲームに分類される。


6.その他の諸問題

 


*ゲームで最も重要な場所はど真ん中。乃至ゴール前の真ん中。
今ここに碁盤の上に麻雀を載せてみる。(別図参照)
武宮の宇宙流をしっかり裏付けるものを知る。

一つの業界のプロのメンバーは500人ぐらいでは無いか・・と推測。
囲碁のプロ人口・・460人。将棋のプロは160人。大相撲は655人。
サッカーは1000人。野球は840人。



*囲碁で問題なのは、九段が2割居ること。
引退がないから必然か。1990年のこと、
静岡の人、元警察署長・井伊国雄さんが文藝春秋 に投稿した
「九段が多過ぎるぞ」で一大センセーションを巻き起こした。

笑止千万、九段棋院提唱説も。


7.今後の諸問題

 
ゲームの理論の中で二人零和有限確定完全情報ゲームは、
最も単純なゲームといえ、ゲーム理論の研究の最初期から研究されてきた。

 現在では研究の中心はゲームの性質についての研究から、
人工知能AIを用いた具体的なゲームにおける戦略の研究にその中心が移っている。

二人零和有限確定完全情報ゲームの先読みは
人工知能AIの分野で早くから研究されてきた。

チェス・将棋のゲームではすでにAIが君臨してきたが、
囲碁はまだプロの世界と目されていた。ところが人工知能AIが突然、
囲碁界を制覇する新時代がやって来た。すでに承知のことである。

昨今、AIとLOTが人類に寄与する器械として認識され、実用化が進むに当たり、

その知能とか理解度を測る試金石をして、
ゲームの世界に登場してきたと言うのがほんとうである。

表面「AIの碁は強い!」と言っているだけでは無い。
AIが人生にどういう関わりを持ってくるか?ここは重要なところである。