スプリットステップ

                                      高野圭介

 サービス
テニスをしていても、一人一人考えが違うことを如実に知った。

私は何よりもサービスに重点を置いている。
それは、サービスだけが自分の意志だけで自由に出来る唯一の打ち方である。
他のはすべて相手から打ってきたボールであるからだ。
だから、せめてサービスだけは自分の気の済むようにやりたい。



 それを「高野さんはサービスで決めて勝とうとしている。」と言う人がいた。

 それが勝ちに繋がったらそれで良いが、そんなに簡単なものではない。
自分だけの独特のサービスを持ちたい。それが本心だ。

スプリットステップ
 加齢の故で動きが悪いと思っていた。

ところが「テニス・足ニス」と言われるように、テニスは足で稼ぐものだ。
そこに登場したのがスプリットステップである。

 スプリットステップは、テニスのフットワークにおいて非常に大事な要素のひとつだ。



「相手が打つ瞬間に両足でジャンプする」とのやり方のではあるが、
実はいちばん大切な「相手のショットに意識を集中する」ということなのだ。

 相手がどこに打とうとしているのか、集中して「観る」こと、また同時に
身体的にニュートラルな(前後左右どの方向にも動ける)状態を作るということが目的なのだ。

相手の動きとボールを「観る」ことに集中すれば、
スプリットステップは自然にできるものだと言っても言い過ぎではない。

スプリットステップの理想としては、ジャンプして身体が
僅か空中に浮いている状態でボールの行方を見極め、
着地時にはすでにどちらに動くかが決まっていて、素早く動いている。





意識を集中する


 これを熟読していると、相手の動きをよく観る。球をよく見る。

意識を集中する。そして身体が素早く反応する。そういうことなんですね。



 これはまるで剣道の正眼の構えだ。
おそらくこのスタンスはすべてのスポーツ、格闘技にも共通するのだろう。

三手のヨミから
私はビックリした。

 いったん打ったら、もう動かせないというあの無機的な囲碁で、
打つ石は繋がったり切ったり、常に有機的な動きの中にある。

その見えない動きを先ヨミして着手を決めるのだが、
テニスのスプリットステップこそヨミであり、
碁は勘だけで打つ、形だけで打つなど、とんでもない。

自分の手番において、次に自分の打つ手、相手の応手、自分の打つ手。
ここ まで考えるのが3手の読み。碁は普段から3手のヨミから始めて、
早く深く正確にヨム訓練が要求される。