太極拳と気とツボ

                                          高野圭介

気が通る


早朝太極拳のとき、佐藤靖子師範が言います。

「太極拳は套路(順路)だけではありませんよ。腰を落としてゆっくり呼吸する。
その腹式呼吸で吐くときが大切なんですね。」

「息をゆっくりフーッと吐きながら、ぐーっと腕を前に出すとき、
気がすーっと通ります。気は経絡を通ってツボに抜けるのです。」





気と経絡(けいらく)とツボ



 東洋医学では以下のように説明してあります。

 気と経絡  
人間には自然に病気を治そうとする能力があります。これが自然治癒力です。
人間はこの力をうまく利用して病気を治そうとします。

この力を中国では「気」といいます。
昔からの言葉に血気盛んな人は元気物、気落ちしている人は無気力といいます。

東洋医学では、
こうした気を蓄え全身に循環させることによって病気を治そうとします。
この循環ルートを「経路」といいます。

経絡とは
 経路は、ツボが一定の線で結ばれていて、縦につながった形態をいいます。
内部では臓腑に属し、外部では体表に分布し、全身に行き渡っています。

経路は12本あり、それぞれに臓腑の名がついています。

経路の体内循環は、肺経~大腸経~胃経~脾経~心経~小腸経~
膀胱経~腎経~心包経~三焦経~胆経~肝経~肺経へと流れます。

この12本の経路を正経12経といい、エネルギーがこの経路を
正常に流れていれば病気は起こらないとされています。

気とツボ  
 経路を流れる「気」には一緒に循環する「血」(液状のもの)がついてまわります。
血は全身をくまなく流れていますが、それを外部から動かしているのが「気」です。

 ツボは経路の通路中にある空所の意味があって経路の門戸といわれ
気の出入りするところでもあります。

 気と太極拳は不可分の関係というより、太極拳即気なのです。
更に言うと、気功のジャンルに太極拳があるのです。

 気功と太極拳
 気功というのは、気を練ることをいいます。気の功を積むという事です。
つまり、太極拳でも気を練ること、
すなわち練功があれば、気功という事になります。

 太極拳は元來、中国で張三峯という人が、
武当山という山で仙人の修行をする際に、気功をするのに考えだされたものです。
仙人の修行の為の気功が太極拳です。


 中国の太極拳


 私はここ20年間ぐらいは毎年のように中国を訪れています。
その間、少林寺に少林寺拳法を見学したり、
北京師範大学では部活としての太極拳を見学しました。

中国では生活に密着して公園・広場など自然の森林の中で悠々と表演しているのです。
訪れた何十という都市では、いつも早朝太極拳に参加しています。
振り返りますと、各都市の中で、紹興市のグループが突出していました。

 日本の太極拳
 これに対し、日本の太極拳は教室で学び、目標としては資格としての
段位に挑戦する太極拳が主流となっているようです。



須磨・スポーツアカデミィでの太極拳コースでは
師範の干 學利老子は本場功夫(カンフー)の選手。

したがって、ゆっくりしたうごきでなく、カンフースタイル。
24式太極拳でも動きは功夫がベースで、キビキビ気合いが良い。

私にとっては、日本のそれと比べて新鮮に映る

このように同じ太極拳でも日中間では、
大衆の普及具合、つきあい方が違う。