凄いコンピューター・天頂Vのヨミ


                     高野圭介

天頂Vはモンテカロル法を駆使して創られたという。
それがどのくらい強いか?を問う前に、どのように考えるか?が知りたかった。

その謎に一歩近づく糸口が見つかった。






 
最強囲碁プログラム:ZEN
=天頂V


人間とコンピューター天頂Vの碁の違いのの検証


 コンピューターの思考過程


人間の碁のヨミ 


1.天頂Vは次の1手に、5ヶ所ばかりの候補着点を直感し、
忽ちその一つ一つに何千回という検討を加えるが、

パソコンの演算能力の限界もそう高くはないという限界の中で、
ここと目星が決まったら、そこには、盤中くまなく変化をヨンで、
何万、10万、50万と、100万回近く、膨大な回数のヨミを入れる。


その点、橋本宇太郎総帥のように、
当初から「この一点」と焦点を絞り、
そこをより深くしっかりとヨミ込んでいく。
プロとパソコンの最初の違いではなかろうか。

cf::巨匠の眼

 
2.天頂Vは常に、盤中くまなく変化をヨンでいる。しかも、
相手の棋風とか、実績などの特徴を一切考慮に入れず、
棋理だけが相手で、しかも、人間が常識的に当然という着手を、
完全に否定して、新機軸の発想を打ち出す。


その点、人間は、
学習すればする程、自分の枠から抜けられなくて、
保守的な安全に走り、、、盤上に飛躍した
ダイナミックな思考が難しい。

 
3.天頂Vの真骨頂は、プロが驚くほど、死活、攻め合い、
ヨセのパーツで、いよいよ冴えてくる。したがって、
作り碁、細碁ともなると、競り合いに滅法強くなる。


 その点、特に
アマの世界では、終盤に弱さを暴露しますから、
取り組みにくい相手です。


cf:巨匠の眼
かって、橋本宇太郎先生にぶしつけな質問をしたことがある
「先生、この局面に3箇所良いところがあるとして、どこどこを読まれるのですか?」

「そうですね。だいたい一点だけです。そこを先の先までしっかりヨミます」

巨匠の眼はたじろぎもしない。



          

天頂ヨミの実態



 4月末の風鈴会で、連碁を打ち、その碁を天頂Vが検討する模様を観賞した。
こんな楽しい碁のお勉強は初めてだったと、異口同音。

 一手毎に5ヶ所の着点を選び、その点の価値を評価し、何千、何万、何十万というヨミの数を示す。
多いので80万回という数字を示した。その、2.3を表示しよう。


 第1譜(連碁の実戦)


先番   吉田 健 ・  
      東屋 弘 ・  
     宮垣 実・  
互先  深山美代子・
    高野圭介・
   杉田明子・

風鈴会 2012年4月24日
62手打ち止め 打ち掛け

第1譜の変化は
黒好調に見えて、
実は、打ち過ぎ!ではないか?

その反省に立って・・・、

黒51ボーシは妥当であったか?
その議論から、検討が始まった。


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第2譜

天頂に、
黒43の一手を問うたら、
5ヶ所を指摘した。

天頂推薦の第一は
黒51一間トビであった。


次いで、白黒共に天頂の
赴くままの進行を依頼した。

以降、黒61カケと上下の白を
割いていて、本格派。

天頂の検討は打ち切ったが、
常識的な石運びに納得。
天頂Vの強さを再認識した。

面白い検討会であった。



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第3譜


天頂ヨミの次点の進行


天頂が盤中くまなく
目を光らせて、
何かの作戦を展開して
いるように見える。


本譜の進行は
少なくとも、
私たちの思考からは
ずーっと離れています。

とても斬新な発想で、
愉快きわまりない。








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