碁は心理で負ける

                                      高野圭介


「そうしたい」
という願望



人間は「そうしたい」という願望は、
ずーと強く持ち続けていると、いつか実現するものだ。


ここに、願望というのは、
心の持ち様とでも言うべきで、何の望みもないのに、
「そうなってしまった」ことも無いではないが。


いつも
「オイシイ」


私は何か食べるとき、どんなものでもいつも「オイシイ」と言う。
10回も100回も腹に嵌るまで言う。
何と、ほんとうにオイシイものになって来るではないか。

だから、私に嫌いなものは何もない。
そんなこと・・と言う人は、いちどやってご覧になったら・・・・
いかが。



もう
「勝てない」と
思ったら

そりゃ
勝てない



碁でも、初めから「もう勝てない」と思い込んだら
そりゃ、勝てる見込みはない。

逆に「一発入れてやろう」と、心に誓い、
自分に、「いたずらに勝たさない!」と、言って聞かせ、

信念的な一つのこと、
たとえば「先手を取る」とか「ゆっくり打とう」とか、
この一局のテーマとして確認してから、実戦に入る。


「勝とう」と
思ったら
勝てる

 
わが棋友・井原嗣治さん
「勝とうと思ったら勝てるが、負けようと思ったら負けられる」
など言って憚らないが、

ちょうどこういうことを言っているのだろう。

 
『囲碁の

心理学的

上達法』



ここに、1994年7月の初版本を
林道義先生からご恵送いただいた一冊の本がある。

主題は「囲碁心理十訣」を提唱し、
囲碁の勝敗を大きく左右する心理的側面を解析する。



『囲碁の心理学的上達法』林道義著


一.揺れ動く心は大敵、態度を決めよ。

二.打ちたいところへ、ノビノビと打て。

三.乱暴にひるむな勇気、我にあり。

四.縮まず、力まず、柔らかく、打て。

五.ナメてはいけない。相手は強い。

六.悔しい気持ちはすっぽり捨てよ。

七.アセリを自覚し、自信を持て。

八.トドメは必死に、ヨミ切って。

九.金持ち稼がず、喧嘩せず。

十.勝ったと思うな、終わりまで。




負けるように
なっている


どんなに言っても、
(たとえば、プロに対してでも)
初めから勝てないと、決めてしまった人は、
自分に、負けるしかないと、言って聞かせているんだから、
もう、負けるようになってくる。