碁  知  恵

                                       高野圭介


女性の友だちから電話があった。

「今、苦労してますねん」
「どないしたん」
「うまく言えへんけどな、地域のことで、困ってますねん」

抜き差しならぬ羽目
私はピーーンときた。
どうも、自治会、老人会、趣味の会・・・
何かの会の世話に首を突っ込んで、
抜き差しならぬ羽目になってしもうたに相違ない。


猿は猿知恵

碁は碁知恵



「碁以外のことをしたらあかんのや。
猿は猿知恵、碁は碁知恵や。
この歳になって、碁のことやったら、なんかスムースに行くのに、
他のことはぎしぎしして、変におかしいだろう」

「そうなんや。波長が合わんというんやろか、
そやそや、よう分かったわ。その通りや。こりこりした」

碁会のプロ
その通り、今の碁吉会の皆さまは地域では「碁会のプロ」
つまり、碁会を運営させたら、どなたもピカ一のプロ。


 それだけでない。
どんなときにでも、突然の指名で挨拶でも、司会でも、
どんな役でもさらりとやってのけるのだ。


他愛もない電話だった。

でも、考えさせられた。

碁馬鹿に徹する
 囲碁専業がプロなら、
碁知恵の狭間で生きているわれわれは、
生きざまは碁馬鹿に徹する以外にない


アマの囲碁一徹は囲碁の世界だけでは、
人の羨むほどの輝く王道をまっしぐらに歩んでいくのがいい。

人生は一つ事がいい。