碁の5次元を考える


                                        高野圭介


先日、テレビで数学者が5次元を体験した話があった。
同教授のゼミナールグループの中で、二人の学生は「分かった」と言い、
多の10数人は「まだ分からない」と言っていた。

私は、もし、碁の5次元の世界を見ることが出来たら、
どんなに素晴らしいことだろうと、一念発起して、取り組んでみた。


結果を導く前に、「次元とは何か」から取り組みたい。
その筋の定義です。

「次元」ってのは要素の数・自由度を意味する言葉です。
何のこっちゃって感じですが、これを空間に当てはめると、
自由に行き来できる方向と考えれば良いと思います。


これでは、いよいよ分かりにくいが、しかし、
次元の違う要素が自由に行き来できる・・・として、論を進める。

3次元は、縦・横・高さの世界である。ことは自明である。
4次元は、「3次元+時間」で、縦・横・高さの世界の他に、
宇宙全体に同じ時間が流れているという、我々が認識している世界となっている。

ただ、空間と時間は別の物で、アインシュタインが言う4次元とは、
我々が認識している「3次元+時間」という世界ではない。
空間と時間が絡み合って、時間の流れが空間をゆがませたり、
空間の変化が時間の流れを変化させたりする世界なのだが、

ここに、一般の認識に戻そう。

5次元は「4次元+重力」なのだそうです。


ただし、学者の説明は難しい。

「我々の宇宙は5次元の中に浮かぶ、4次元の膜のようなもので、
その膜同士が衝突するとビッグバンが生まれるという説がある。

4つの力のうち、電磁気の力と核力2種は、その膜だけにしか伝わらないのだが、
重力だけは、その膜をしみ出し、別の宇宙に影響を及ぼし、
ダークマターやダークエネルギーの元になるという説あり。

5次元で考えると、重力と電磁気学を統一できた。


注:アインシュタインの重力理論と、マックスウェルの電磁気学。



5次元空間版ルービックキューブ「MagicCube5D」


ただ、身近に5次元とは何か?は以下の2つの例に見られます。

例えば、「身体を動かす」「おなかが空く」「仕事がはかどる」「前日の睡眠時間」
これら4つの事象に注目すれば、これは4次元の問題となります。

例えば「小学生の有無」「曜日」「時間帯」「電車の混雑度」「私の憂鬱」の関係を考える5次元問題は
「小学生がいる平日の朝の混雑した電車はスゲー憂鬱」と解くことができます。

簡単ですよね。
人間は5次元の問題をサクサク解けるし、
5次元の世界を想像することだって楽楽なのです。



4次元ルービックキューブ


つまり
0次元「点」行き来できる方向が無い
1次元「直線」行き来できるのは横方向だけ
2次元「平面」縦と横に移動できる
3次元「立体」縦、横、高さに移動できる

4次元「じゃぁ4次元は?」と言われても「さぁ?」としか言いようがありません。
縦、横、高さ以外の何かしらの方向なんでしょうが、
我々の世界は3次元といわれているので想像できません。
ましてや5次元なんて、さっぱりです。

ちなみに物理学やSFにおいて、4次元目は時間だと言いますが、
そもそも時間は方向ではないので性質の異なる4次元です。

これらは空間に当てはめただけで別に「次元」は何にでも当てはめることができます。

注:以上は、インターネットの「5次元」検索からの学習と抜粋



さて、ここまで来れば、

次元の違う要素が自由に行き来できるという次元論からして、
碁の5次元を考える
ことが出来るというものだ。

2次元 「平面」  縦と横に移動できる碁盤の面
3次元 「立体」  マス目の交差点に置く石
4次元 「時間」 持ち時間のこと
5次元 「ヨミ」 読んで作図し、消して、又ヨム。

何故、ヨミが5次元か?

碁で、ヨム機能が無くては、一着の価値の判定も出ない。
しかも、このヨミは湧き出る発想の元に、提起され、
検討され、消去し、ヨミ直し、再検討。別の発想からまたヨム。
やがて、決定と同時に、着手として陽の目を見る。

この間、
次元の違う世界での出来事なので、垣間見ることすら出来ない
ここまで、思ったとき、

「ヨミこそ、碁の5次元!」と喝破したい

なるほど「次元の違う碁」というのは「ヨミの質の違い」と、
ハタと、膝を敲いた。