源氏物語絵巻

「大絵巻展」・・特別展覧会・・京都国立博物館


                                               高野圭介

碁を打つ

源氏「竹河」



源氏車


「なぞかう暑きにこの格子はおろされぬるととへば、
ひるより西の御かたのわたらせ給ひて、
碁うたせたまふといふ
(中略)
碁うち果ててけちさすわたり、
こころとげに見えて、きjはきはしうさうどけば、
おくのひとは、いとしずかにのどめて、
まち給へや、そこは持にこそあらめ、
このわたりの劫をこそなどいへど、
いで此のたびはまけにけり、
すみのところどころ、いでいでと、をよびをかがめて、
とを、はた、みそ、よそなどかぞふるさま、
いよのゆげたもたどたどしかるまじうみゆ」

源氏物語「空蝉」


源氏物語の一帖「蓬生」の絵巻が展示されていた。

 そもそも、
源氏五十四帖絵巻の中には二箇所だけ碁のシーンがある。
源氏「竹河」「宿木」の二帖のみである。


源氏「宿木」




家紋「宿木」


源氏物語絵巻「宿木」は帝と薫が碁を打つ御姿が描かれている。

「宿木」の帖だけは帝と薫による、男性同士の対局場面です。
帝が皇女二宮の婿にと望んでいた中納言薫の君と、
三番勝負を打つことになりましたが、

薫が二番勝ち越せば姫君を薫の嫁に差し出す考えです。
帝はわざと勝負に負けるという、
こうした筋書きを秘めている帖でした。

「囲碁の文化史」 水口藤雄著p.114


式部ブロッグ
「はりまのかみ、碁の負けわざしける日、あからさまに、
まかでて後にぞ、碁のさまなど見給へしかば、
けそくなどゆえゆえしくして、すはまのほとりの水に、かきまぜたりして、
紀の国のしらうの浜に拾ふてふこの石こそは、巌ともなれ」

紫式部日記より