(06)  人 体 解 剖

                                         高野圭介

人体と碁の解剖

 大模様の碁、古色蒼然たるコクのある碁、相がかりの激しい戦いの碁などとある。
また立ち上がりいきなり戦いに入るのもあればジワーとヨセ勝負に終始するのもある。
碁の骨格は一局一局異なる。

 腑分けをするように碁を調べると人体になぞらえた名称の如何に多いことか。

総まくりといこう。





人体ずくし囲碁用語



                                        高野圭介作

部所
盤面に 人体のあちこちが 出てくる出てくる


頭のてっぺんから・・・「頭を叩く」「二目の頭見ずハネよ」「三目の頭」「頭をぶつける」


 顔は「顔を立てる」「猫の顔」「犬の顔」「馬の顔」「キリンの顔」


 目は「一眼二足」と言われて、昔から失ったら最も困るものの筆頭に擧げられてきた。
なんと、碁でも眼形を失うと苦労の始めみたいなものだ。

「目を欠く」「目ありめ無しはからの攻め合い」=「ありなし」「目算」


 鼻は「四本鼻は叩かすとも、三本鼻は叩かすな」「鼻づけ」「天狗の鼻づけ」


耳は「耳の急所」


口は模様の「突破口」勝負手の「突破口」。逆転の「突破口」

中には「口舌」とかいって形勢不利ならば「手段」と混ぜて使うという説がある。


 手は「着手」「手段」という基本動作が集約されていて術語も格言も断然多い。

「手筋」「手順」「手所」「手割り」「手勝ち」「手負け」「手もどりは避けよ」「悪手」「佳手」
「両バネ一手ノビ」「大場の手止まり」「手が延びる」「二手キカシを打てると思うな」
「手数を詰めるほうり込み」「無理手」「鬼手」「奇手」「逆先手」「後手の先手」「決め手」


 指は「目の中へ指を突っ込む」 又、「指運」


足は「足早や」「足が遅い」「足がかり」「足場」


腹は「腹づけ」「狸の腹鼓」 「ケイマの腹」 又「腹一杯の地」


背は「背中で打つ」「背中が厚い」


尻は「尻抜け」「尻切れ」「尻ぬぐい」

しっぽ
人間にはしっぽは無いが「亀の甲のしっぽ付き」

生死  
後は生き死にに関するもので 「死にきっていない」「いったん死んで打つ」
「大石死せず」「石が死んだら攻めどりにさせよ」


最後は「石の命」で締めくくる。