祝 米寿 第2弾

山田規三生九段の指導碁



 将碁友の会さんから指導碁のプレゼントである。
この嬉しいプレゼントに、私は否応無しに快く盤に向かった。



私は久しくプロの指導碁から遠離っている。
過去40年間には誠に大勢の先生方の先生に出逢っている。
雨洗会の橋本宇太郎総帥を始め関西棋院の先生方。
日本棋院の山部俊郎、中山典之先生も懐かしい。

http://gokichikai.jp/taikyoku-plays.html

最も多いのは家田隆二先生の200局。こうして見ると、300局以上かも知れない。



                                           高野圭介




今回の山田規三生先生は細川一門の山下順源先生が故郷山崎の自宅に、
一人の少年を連れてこられて、一泊されたことがある。
それが名にし負う山田規三生先生であった。

二子局は先と同じで、手合いである。三子から指導碁になる。私は三子とした根拠である。

不思議と、山田先生は初めてであった。対局後、「お久しぶりです。」とメールが入った。




本局の解説を戴くのは水戸夕香里先生です。

水戸先生は新婚ほやほやで、ヨーロッパコングレスでご主人をご紹介された。
マルセーユであったか、ローマであったか、どこどであったか定かで無いが。

あくほどの向日葵畑昼の月   虚石

以降30年にもなりますが、先生には懇意にして戴いています。
ある日のこと、先生が京都新聞に連載されたエッセー集を纏めてご送付戴いたことがあります。

 
ただ今、音声による解説が公開されています。


 

懐かしい高野さん

                         水戸夕香里


山田さんとの碁も拝見しました。なんてのびのび自由に打っておられることでしょう!
結果ではなく、高野さんの人生哲学を拝見するようでした。

その昔、関西棋道会、ミニ碁一番勝負でもお目にかかりましたね?

“碁きち会”の赤穂の囲碁の合宿にも呼んでいただきました。とても懐かしいです。
陳嘉鋭先生とご一緒させて頂きました


本局について・・・・・水戸講評

最後の最後、本当に惜しかったですね。
128の一手は“エイヤッ”とノータイムで打たれたのではないでしょうか。
気合いの一手ではありましたが、これは打ち過ぎ。正しくはこの手では137にバックでした。
微細ながら黒に少し残りそうでしたね。

全体を振り返ると、黒16・18がのちに32キリをみて空中戦の予感。
真ん中がどうなるかがこの碁の見所です。
黒82は思いきった手。
ただし、黒100の手入れが必要で、白101に回られ細かくなりました。

結果は『ブンブン丸』山田九段の強手に捕まりましたが、内容は立派。
88歳の年齢を感じさせない若々しい一局でした!



想定もしなかった失着

 
本局の開始に当たり、心を鎮め、次の三点を念頭に置いた。
「本手を打つこと。地合で負けないこと。気合いで負けないこと。」

結局、棋力相応の碁になった。
 一手一手は後日、水戸先生にお願いするとして・・・、

私が気合いで自滅して幕となった。
魔の黒128を137に打つ積もりだったのに。
本局、老骨に鞭打って、精一杯の好局であったのに。

 捉まったとき、楠木正成の気分だった。
でもこの結末は今の私に相応しいものであったと、不思議と清々しかった。




山田規三生九段 vs 三子 高野圭介

139手完 白中押し勝ち





仮想終局図の一つ

それから、死んだ子の歳を数えるように、最後までのヨセを幾つか作ってみた。
どれも数目残っている。とは言え、
これからのヨセが山田先生の本領なので、持碁一となるだろうが、
それでも黑に分のあったのではないか。

その一つ。仮想通貨並みの総譜である。

                                      高野圭介



家田隆二八段 講評

才気煥発・高野さんの若々しい発想で、素晴らしい。

その一,黑32キリは局面一の好点で、渾身の一手でしょう。
その二、黑44カケは、高い志:至高の一手と言えます。

末尾に、その後の進行:参考図を示します。

惜しむらくは、黑108二間開きで、112コスミなら黑危なげなく勝勢だった。
勝敗抜きにして、黒の名局と言えましょう。




 
参考図

家田プロ称賛の二手。 黑32と黑44。

白45に次いで、黑46オサエの強手なら、白は打つ手に困っている。