地中に手がありやなしや 高野圭介自戦記 家田隆二八段 vs 高野圭介 2子局(第18局) 2005年1月3日 於 パレスサイドホテル 所要時間 3時間半 2264手完 黒中押し勝ち 終盤、大団円を迎えて、 みんなの眼がこの一隅を凝視していた。 スミの白地の中で、一手一手の応酬の内、手になってしまった。 黒の驚くほどの大アマちゃんで始まったこの一局、 (このアマちゃんが私がプロに戦える唯一の体制と、自認) 最終の時点で、白の地中に手を付けていって、 本コウに持ち込んだことは生涯に記念すべき一局となった。 あと、 小1時間もの間、全身の血流が収まらず、興奮が醒めやらなかった。 家田先生、直後から感想が始まった。 「真相はどうだったのかな」と、独り言。 「どこかで誤魔化されたらしい。急所に置かれたとき、 そうか、カタツギだと、何もなかったか。ちょっとやってみて・・・」 白がこう打ったら勝っていた、という図作りに時が流れた。 相当難しかったのか、さもあらん。さもあらん。それが真実だろう。 最後に左上隅に手を付けたのち、熾烈な戦いは プロの八段とヨミくらべして、勝った! 嬉しさいっぱいである。 私にとって、最近にない気力と棋力を振り絞った碁だったから。 私は自分としては存分に打ったつもりである。 でも 下辺で、手にしたと思ったのに、不発に終わったのが何故か? 検討のとき、これが実力と、思い知らされた。 先生の感想は下辺に絞られた。 「もっと、前の局面、黒170ハイは素晴らしい手だが、 黒167手ツギではツガないで、ためらわず、 ぐいと、177に這い込まれていたら、白壊滅だった。 そこで 私はその鮮やかさに(感動して)投了したかった」と、言われた。
私はそう打つつもりでいたが、白175コウアテにヨミが狂い、 そこが弱いところで、打てなかったのだが・・・。 でも、ヨミスジだけは確かだった。
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参考図