ヨメない獅子身中の虫

                              高野圭介自戦記

家田隆二八段 vs 高野圭介

 家研 2子局
2005年5月5日 於ランカ
204手完 黒中押し勝ち

 
 家田先生の「一着の価値観」

「着点は何目勝つ手か、で、決まる」と言われる。
つまり「いっぱいいっぱいに多く勝ちたいとき、と、
5目で良いから、確かに勝ちたいときで、
着点の可否が変わってくる。」


 この碁は「黒が15目リードを終始支えきった」との総評である。

 先生の各論講評。

黒の悪手

 とは言え、黒は確かとは言えない。
悪手の親分は白61のツキヌケを許したこと。
リカバーして黒66、黒68が好手で、完全に修復した。
でも、これは白に問題があっただけのことで、
黒58・60は唯一確かな悪手!

 この間、白の反省

白63で、なぜハネなかったか、
また、白65が時期早々であって、
将来、63ツギでなく、68ノゾキから打つのだったと。
 あと続いて、白自身の反省は93ノゾキはヌルイ。
白117は単に123ツギでなければならなかった。


 黒112・私の苦慮。

私にとって、ここは未完の詰碁で、将来予測が立たない。
生死か、イキでなくとも、攻め合いの具合などから、
獅子身中の虫を根絶やしにしておかないと、
打ち切れない・・と、判断したのだが。
それは緩くて、一手パスに近くて、
緊迫した状態では打ちにくい。


先生の評

しかし、黒112は、15目勝ちを10目にしただけで、手堅い感があって、
悪手ではない。この碁では佳手。


白の勝負手

 白の勝てるチャンスは白25.27の2子が生還できるかに掛かっていたが
それも叶わず、もはやチャンスは訪れなかった。
 最後、左上を捨てて、勝負に出たが、
ダメ詰まりから、黒204が成立しては不発に終わった。