「やるまいぞ やるまいぞ」     

         「ゆるさせられい ゆるさせられい」


                                                    高野圭介自戦記

先番打ち込み碁第3局

家田隆二八段  vs  定先 高野圭介
                白10目逆コミ出し

2009年8月6日 於 家研・ライフ大阪
166手完 白中押し勝ち

                        
どんでん返し
本局、黒は巧く打ちすぎて、序盤から中盤に掛けて、
盤面20目のリードで、幕を閉じようとしていた。

それが、狂言を地で行くような、どんでん返しに・・・・・・

黒の反省
1.黒95は右辺106に味良くワタリだった。

 2.黒113も同じく、136と右辺のワタリ。  

3.黒115は118 カケツギ。         

この一連の手は
華麗な夢で、いいのだが、いいのだが、堅実みがない。
もっと、もっと、手厚く打つべし!と反省。

鮮やかな活き
鮮やかな左上(黒151からの)の黒活き。
白はもうダメ。と、家田評。

「かって、手筋の鮮やかな松浦吉プロが打った手筋で、
高野さんはそれを知ろうはずが無く、
この発想は只者ではないことを意味する」

と褒められた。

オワ・オワ
突然のどんでん返し決着

黒143と、中に備えたのは、まだ取りに行っている。
158に、3目を取り切っておけば、オワだった。

黒159も166から左辺をイキに着いておけば、
なお、残っていたのに。

緊張感がどこかへ
思いも掛けぬ・・・本局の我を顧みない心に難あり。

むしろ、碁以前の姿勢を問い、反省しきりである。


余りにもの大差に、緊張感が消え失せていたのか。
ナンバシトルカ!
白166で万事休すとは。


狂言

茶壺の幕引き


最後まで残っていた黒は突然の変化に、
呆然となり、狂言:茶壺(末尾に記載の幕引き。

「ゆるさせられい ゆるさせられい」

「やるまいぞ やるまいぞ」



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茶壺・狂言

2009年8月1日第40回神戸薪能 於長田神社

 
 田舎者登場  
主人の使いで京の栂尾トガノオまで行き、茶を買い求めて来た田舎者が、
途中で立ち寄った知人の処で酒を振る舞われ、酔っぱらって街道筋に寝てしまう。

 スッパ(悪者)登場
其処へ通り掛かったスッパ(悪者、シテ)が、茶壺を盗もうとして、
茶壺を担った縄の片方に肩を入れ、田舎者と背中合わせに並び臥す。

 目代の裁き  
間もなく目を醒ました田舎者と茶壺を奪い合うところへ、
騒ぎを聞き付けた目代(モクダイ:代官)が現れて裁きを着けることになる。

しかし、田舎者の申し立てる内容を、スッパが盗み聞きして同じように答えるので、
どちらの物とも決め兼ねる。次にこの茶の産地や商品明細を言わせる。

 巧みに誤魔化して
田舎者が拍子に掛かって舞いながら述べると、次にスッパもその通りに真似をする。
更に両人相舞(アイマイ)に舞えと命ずると、矢張りスッパは巧みに誤魔化して果オオせる。

やるまいぞ 
遂に裁き兼ねた目代は、昔から論ずる物は中から取れと云う諺があると言って、
自分が茶壺を取って
「ゆるさせられい ゆるさせられい」と逃げる。

田舎者・スッパの両人が
「やるまいぞ やるまいぞ」(逃すまいぞ)と追い込む。




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