コンピューターの碁

マクルーハンの予言と世界を繋いだマークのIGS(パンダネット)。

                                           高野圭介


囲碁の
コンピューターとの
関わり黎明期



「最も新しいものが最早古い」といわれることがある。

日進月歩のコンピューターの世界では、
生まれたてのホヤホヤは既に古いのである。

常に新しいものよりもずーっと新しいものがすでに出来ているんだから。
 それを百も承知で入手しないと、何も買うチャンスも無い。

私が明日のコンピューターの世界を語ろうとしてもムダだから、
囲碁のコンピューターの関わり黎明期のことに触れたい。

マクル-ハンの予言
 この二十世紀に人類の産んだ最大のものは「Conpyuter と DNA」であろう。
囲碁の未来を予測するに当たり、囲碁そのものの変化もさることながら、
我々人間社会の環境の変化が重大な意味を持つことが分かる。

もう50年も前、マクル-ハンはすでに「囲碁と人間」の
将来の我々の環境を予言していた
。《文献64》

 曰く
「われわれは電気メディアの世界が大きく広がってくる。
囲碁との共生も、もはや畳の上だけでなく、メディアの中にこそ
快適なハンド・ト-クの場となるだろう」
と。

彼の予言は当たった。囲碁の世界にパソコンが入り込んで結構久しい。
碁とコンピュ-タ-との関わりを見ると、パソコンで覚える。
パソコンで勉強する。碁のソフトを創る。パソコンのソフト同士打つ。
パソコンが棋譜を残す。人とソフトが打つ。等々である。

通信碁の趨り
 碁を打つ人は碁仇を求めて、
落語の『傘碁』のような滑稽な話も生まれるのだが、
通信手段で碁を打つ限り、碁友は日本中にいる。否、世界中が相手だ。

 通信碁は今に始まったのではない。
有名なデュパ-ル博士と鳩山一郎の電報碁。電話碁。葉書碁。メ-ル碁。
或いはファックス碁。ありとあらゆる通信手段で碁に親しむのである。

 最近はパソコン通信のお陰で、リアルタイムで、電子碁盤を見ながら、
会話を交わしながら、しかも自由な時間に碁が打てる。
夢のような桃源郷が忽然として現れたのだ。

Phd.Mark Okada
 IGS の創作者はサンフランシスコの日本の三世・マ-ク・オカダで
まさしく私の親友の一人。黎明期における彼の足跡を辿ってみたい。

ーーーあなたがコンピュ-タ-との関わりを持たれたのは?ーーー

 元々私は Botany を専攻していまして、Phd.(博士号)を取ったので、
サンフランシスコ博物館に勤めていました。

その後私は【GANBIT】という玩具やゲ-ムの店をサンフランシスコで
経営する傍ら、また桑港棋院の会計を務めていました。

1983年、コンピュ-タ-にまつわる話がジワッと出てきたのです。
私はコンピュ-タ-に関心を持ち初めて、のめり込んでいきました。

 一年後、マッキントッシュ・アップルの全てを掌中のものに出来たとき、
今までの自分から総てを投げうって人生の模様替えに踏み切ったのです。

 今振り返ると、1983年というのはアメリカでは「コンピュ-タ-元年」とも
いうべき年で、急激にコンピュ-タ-の世界は拡がっていったのです。

cf: すざら碁仙 p.62.by Mark

Leprechaun
ーーーそして、今の成果は?ーーー

 初め "Leprechaun" というゲ-ムのプログラムを作りました。
話はアイルランドのちょうど日本の一寸法師のような小妖精が主人公で、
捕まえると金塊の隠し場所を教えるという子どもの世界では
よく知られているスト-リ-なのです。鬼や蛇が出て来て邪魔をする。
それをかいくぐって行くという頭の体操。

 これはアメリカでヒットしたものですが、
高野圭介がシルバ-カレッジにあったマッキントッシュの一台にに
組み込んでおきましたから、またお楽しみ下さい。

マークのIGS
ーーー日本の「Panda-NET」について?ーーー

 私は碁が好きなものですから、IGS と言う碁のソフトを創りました。
パソコン通信・インタ-ネットで結んで、
世界を繋ぎ世界の人と「碁を打とう」というのです。
今は日本の「パンダネット」で世界に発信しています。