囲碁祖型の一考察 -メソポタミア文明に源流を求めて- 第一章 人類誕生 (二) 宇宙観と盤 Ⅰ ペルシャ・ギリシャ 碁は「小宇宙」といわれる。その発生の源を訪ねるに当たって、 古代人が盤(Board) を掌中のものにするキィが潜んでいるであろう 宇宙観を紐解かねばならない。 2012年11月5日 高 野 圭 介 |
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ペルシャ | ペルシャは BC 550年頃にイラン高原に建てた国で、 アケメネス王朝はオリエントを統一し、 エジプトから小アジアに至る大国となったが、 ペルシャの植民地ギリシャを圧迫したためペルシャ戦争が始まり亡びた。 しかし、現在のイランの基になった。 |
神への畏れ | 古代ペルシャ人の天変地異への懼れは神への畏れだった。 彼等はゾロアスタ教(拝火教)の教えに従っていた。 ペルシァ人は祭壇も、 偶像も人間の手によって造られる 神殿の囲い塀も また屋根も拒み続けるペルシャ人は いちばん高い山へと登り、 その頂から額に桃金嬢の葉をめぐらした 冠をかぶって生け贄を捧げたのだ。 月や星に風や、 母なる自然の力に、 また天空全体に。 それは彼にとっては知覚できる存在であり 神でもあったのだ。 ワーズ・ワース |
ギリシャ |
古代ギリシャはペルシャの植民地だった。 ペルシャの文化はそのまま植え付けられた筈だ。 古代ギリシャ人は「地球は平たくて世界は円盤のようなもの」と思っていた。 その中心点をなすものが神々の住まいであるオリンポスの山、 アルポイの聖地であると信じていたのである。 |
神の住む所 | ギリシャの東西には黒海と地中海があって、 世界のぐるりには「大洋河」が時計まわりに流れていた。 北の地には高く聳える山の向こうに永遠の喜びと春があって、 戦争も労役も病気もなく暮らしている民族があるが、 陸からも海からも誰も行くことが出来ない。 南には幸福で徳の高い人々が住んでいた。 西の果てには「幸運の野」とか「祝福された人々の島」がある。《文献10》 古代ギリシャ人の世界を思うに、時は悠々と流れたであろうし、 土地の少し高い所は実態を把握できず、東西南北、地の果てには 憧れのユートピアとして想像を画いていた。 そして未踏の地は不明として神の住む所とした。 |
宇宙は盤 |
恐らくは私たちから時間と高さを取り去り、 二次元の世界に戻して想像すれば 「宇宙は盤」という思想が理解できるかも知れない。 今しも金色の陽の車は その灼熱した車軸を 流れの早い大洋の河にひたし 下りたつ太陽は その光をほの暗い北極の空に放ちながら 東方の己が館へ 急ごうとしている 仮面劇『コマウス』より ミルトン |