囲碁祖型の一考察


-メソポタミア文明に源流を求めて-


第二章  文明の発祥と囲碁

(一) 言葉と囲碁

                                    2012年11月30日    高 野 圭 介

言語のルーツ
NHK で言語学の話が放映された。

「インド・ヨ-ロッパ語族と言うのがあって、10万年前頃から言葉が発生し、
1万年頃から中東からヨ-ロッパへ伝わっているという。
それを考古学上で解明すれば、人類の移動、農業の普及と共に伝わっていることが分かる。

世界の言語を分類するとき、身近な部分を表す言葉、
ミルク、水、火、川、手、家、母、数字などの
〈人称代名詞、人間の身体、自然、日常生活〉の音の対応から始まって調査されるという。

 言葉にはインド・ヨ-ロッパ語族の他に、アフリカ・アジア語族、
セム語族、アルタイ語族、ウラル語族、アウストロネシア語族とある。

逆にこれら枝分かれした言語を遡っていけば、
例えば
[1はTIK, 2はPAL, 3以上は多い(MULTI?)]と言う言葉しかなかった、
と実証されて、祖語は一つ、[ノストラ祖語]であったという。


 そして、そのル-ツは今のトルコ辺りか、と言うことであった。

囲碁はパントマイム
 いま、囲碁は手談と言われる。英語で 「Hand Talk」 と呼ばれ、
囲碁の別名としては格別の扱いをされる。

囲碁はパントマイム。音声のない言葉そのものであり、
言葉から生まれた筈のゲ-ムの祖をメソポタミア文明ないし、
インドも含めた中近東に着目したい。



生き抜く戦い
「小宇宙を掌中のものに」という夢は宗教・易卦・暦のボードを作り、
或いは諸々のゲームの盤を手元に手繰り寄せ、これらに相応の印となる駒を置いた。

 東洋では「黄河を治めるものは天下を治める」という治水をはじめ、
地震・雷雨・火事と人類の抗し得ない天変地異に対して、
宗教・易卦・天文から大地に対策を求めたのは理解できる。

 自然だけではない。人と人の軋轢にも対処せねばならない。
民族間の領土の争いには政治以外には力と力がねじ伏せ合う実戦解決しかない。
人類の種族維持の本能は『戦い』である。種族が全力を挙げて生き抜く戦いである。

戦法の模擬作戦


将棋・チェスは戦いの陣形そのものだし、
駒の動きも「敵の王を誅する」という実戦の論理に適っている。

碁も「模擬戦争」から生じたものと推測したい。思うに、
戦力は今で言う歩兵のみ。戦いの陣形は平地。大よく小を封鎖し、捕獲する。
より高度な兵法を駆使するため、戦法の模擬作戦として、
戦いのシミュレーションにこのボード(盤)と駒が大いに寄与した筈である。

 このように、蟻の世界のような平板の二次元の宇宙観による碁盤は
「大地の空間的な模像的イメージ」として把握されていた。