井原さんへの思い

                             歓閑斎




 井原さんとの出会いは、神戸「碁吉会」と大分「碁楽会」が
20年ぶりに交流を再開した時からなので3年近くになる。

 詰碁の大家とは聞いてはいたが
これほどとは存じ上げなかった。
アマチュアで世界最高の存在であることは間違いない。

 井原さんの棋力は私とほぼ同じぐらいだが、
対戦成績は私の方が良いようである。

 だがこの詰碁集を見て、はたと思い当たったことが有る。
私の方は一生懸命であるのに対し、
井原さんは勝敗など問題にしていないのではなかろうか。

 勝敗より碁の内容、いや詰碁の問題が
どこかに転がっていないだろうかという事の方に
関心が有るのではなかろうか。

 何だか違う次元で戦っていたような気がしてきた。

 これからも井原さんと対局する時には、
スジ悪の手を乱発して見慣れぬ形を作り、
新題作成に協力しようと思った次第である。

                          山口 完