ウルトラ強手とスポイル落手


第11回吉田杯関西医師囲碁大会


互先  谷崎弓裕  vs  先番  高野圭介
                         黒6.5目コミ出し
166手完   白中押し勝ち

 


いつの間にか常連となった碁会である。
プロの先生方も久しぶりにお目にかかった懐かしい先生方、
牛窪義高、今村俊也、牛ノ浜撮雄、倉橋正行、張呂祥の諸先生。

伊崎八重子さん、中西美恵子さんの顔も見える。




A組一席に座ったとき、対戦相手の爽やかな顔がそこにあった。

握って私の先番。 立ち上がりから、のっぴきならぬ展開となった。

序盤、白20に一間の受けは下からのノゾキで隅に活きが残る。したがって、カケで打ったが、
後の二.三手で、白も充分であったとしたら、疑問であったか?

中盤に入って、黒37二段バネから碁は佳境に入った。 黒41はこの一手と確信した。


中盤戦たけなわ、黒51キリも面白く、白は余程二子を捨てようか?と思ったという。
黒55のあたり、もっと痛快な手があったのかも知れないが、分からない。

ウルトラ強手黒57ノゾキ。白はシビれた。打つ手が無い。
やった!
一気に、白、難題に直面した。

黒は、中の二子を捨てて、どう打とうかな?と言うとき、  とんでもない手が・・・
参考図のように、三三に並んで優勢が築けたはずなのに、好事の魔!
スポイル落手:黒61とオサエてしまった。ナンタルチア。

以降は奈落の底へ。

 
家田先生の評は違っていた。

黒35が頑張り過ぎで、左辺白4小目に大ケイマに掛かって、スラスラ打つところ。
下辺はスソアキで、大きな地にはならない。

もっと、足早の明るい碁を目指そう。


参考図

これなら、存分に打てていた。

 



 思い返すと、昨年2014年9月末、豊友碁会での決勝戦、長尾重明さんとの
一局も同じような場面に、とんでもない着手が出て、一局を失った。
勝敗を言うのでは無く、とんでもないスポイル放着が悲しい。

今回も、白・谷崎選手の強さは直ぐ分かって、勝敗は順当かとおもうが、
勝敗よりも、自分の放着、潰しの一手に心が白けた。




本局を振り返って、対局中、石がキビキビと軋み、気分のよい石音が聞こえた。
碁は二人の創作である。自分の失敗はさておいても、後味のよい碁だった。

谷崎弓裕選手とはいつの日か、お手合わせ願いたいと思っている。
大阪の羽田先生と同様、盤を囲んで、他でもない、
石の軋む声なき声、音無き石音が又、聞きたいのだ。
いつの日か。