井山はなぜ負けた?

アマの眼・プロの眼に若干の相違がある。

         

                                   高野圭介

 秋山次郎の解説  
正午になり、山下名人が32手目を考慮中に昼食休憩に入った。
ここまでの消費時間は黒番の井山挑戦者が1時間28分、
山下名人が1時間32分。午後1時に再開する。

解説の秋山次郎九段は「午前中は井山裕太棋聖が足早で、
山下敬吾名人が力をためる展開だった。

午後1時、対局が再開した。
10分を過ぎたが、山下名人はまだ32手目を打たない。
腕組みをしたり前傾姿勢になったりして、盤上を見つめている。

再開後の白32のボウシに対し、黒が33、35と反発し、
真っ向から激突する戦いになった。

「右辺でぶつかっている双方の石の力関係がどうなるか。
互いに怖い展開で、
ここで形勢が傾く可能性もあります」と話す。

 良いキカシ
 インターネットの解説では、
白30と黒31は「白からの良いキカシ」と評していた。

(これは利いた方がおかしいのではないか・・・高野)

 
週間碁の記述

棋譜

週間碁の記述である。

黒31で昼食休憩に入った。
午後再開して、山下は勢いよく白32とボーシする。

「このボーシはやや無理気味でないか」という評判だったが、
豪腕の山下がここで力を出し、云々。

山下・白のボーシは確かに無理気味だった。
当然、井山は強く反発に転じた、云々。


 


中にトビ越せ


アマ・高野の眼



私は観戦していて、黒31ハネに違和感を持った。
ここは32と中央に一間トビではないか?

この図はプロの盲点なのか

それほど大事な黒31・隅のハネなら、白は隅をハネる。
以下のように、下辺に二間トビで何ら差し支えない。
よしんば、白から辺からのハサミならば、
余程打ちたい31が打てる。



思うに、黒31トビコシはタルクて打てない手なのか?
キビシくないから取れないのか?
或いは、後の戦いに自信があったのか?

でも、結果としては敗勢になる転機となっている。
でもこの点、評者も、専門家の記述にも何も無いのが不思議である。

対局者も解説者も当然として、触れていないのが不可解なのだ。