井山裕太と呉清源との同質の長所


第54期十段戦五番勝負」の第3局 観戦記

                                      高野圭介


インターネットの

解説がビジー


 井山、前人未到の囲碁界初の七冠なるか-。
産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「森ビル杯 第54期十段戦五番勝負」の
第3局が長野県大町市のくろよんロイヤルホテルで始まった。

これまで挑戦者の井山裕太六冠が伊田篤史十段に2連勝しており、
3連勝すれば4期ぶりに十段に返り咲くとともに、囲碁界初の七冠独占を達成。
大一番に世界が注目している。今朝の日本中の新聞も大々的に報道している。
碁を知らぬ人も今日の一局に熱くなって見守っている。



インターネットの解説付き棋譜にはビジーで繋がらない。
滅多に無い観戦である。

コウ材は黒に有利
 伊田の高中国流に井山は左下隅にシッカリと根を下ろした。

さて、上辺白18ツメはアマ低級者好み。プロの発想には無い手。
「アレ!」と思ったが、良く考えてみると、相当な好手に見えた。
黒三線にオサエはやや凝り形でオサエにくい。いきおい
4線オシとなったが白早治まりで、しかも行きがけの駄賃で隅に手が残った。
井山ペースか。白24キリもなるほど・・。

 でも、伊田としては、この一連の進行は厚くて、
不満は無いと見ているかも知れない。

 これは互角の分かれと見て、おかしうないのかも。




左上隅、一手ヨセコウとはいえ、大きなコウが残った。

 120手あたり、黒の突入に対し、中央の白模様が雄大なだけ
白の仕上げを期待していたが、黒のシノギが絶妙だったのでしょう。
白は攻めあぐんだようで、徐々に黒に傾きかけた。

 左上隅、コウは必死だった。白が走っていただけ、コウ材は黒に有利。
しかも白は近所コウしか打てない。これで白は難局となった。



本局の総評



井山の強さは

呉清源の再来




 かって、趙治勲が「呉清源の碁は薄い」と評したことがある。
敢えて言えば、高感度から見れば「薄い」のであって、厚すぎたりはしない。

日本のプロの学習テキストとなった呉清源の強さは、先手を重視し、
盤上を走り、鮮やかな変化で圧倒していったことにある。



 本局、井山の強さはその呉清源の再来とも言うべく、同質のもの。
とは言え、いやが上にも厚い。そして、敵陣にはアジがいっぱい。

普通、「薄い」のは大きな弱点なのだが、
井山の薄さは、「碁は変化なり」と言われる変化の原点。
打ち切った厚さの良さ以上に、薄さは打たないアジの凄さ。

ここに井山裕太に呉清源同様の長所が重なって見えると思う。

本局はたまたま黒の花見コウが白の敗着になった・・・と、見ている。

井山離婚


日本棋院は井山裕太六冠(26)と将棋の室田伊緒女流二段(26)が離婚したと発表した。
お互い多忙で生活がすれ違いになっていたことが理由。2人の間に子供はおらず、
話し合った結果、昨年末に円満離婚したという。

 井山六冠と室田女流二段は平成21年に知人を介して知り合い、
ともに生年月日が平成元年5月24日であることなどから意気投合。

24年、23歳の誕生日に結婚したが、3年半で離婚となった。
井山六冠は「これからもお互い前に進んでいけるよう努力したい」とコメントした。