白三子は無価値として無視される運命か?
プロの眼はそれが逆で、白の主導という。

第61期囲碁王座戦・五番勝負第1局

井山裕太王座 vs 挑戦者 張 栩九段

                                   高野圭介


序盤、
左下黒7の二間高バサミに左下白8とハサミ返す激しい手を選択したが、
黒15と右下隅を制し、右下と左下のフリカワリのような形になって、
いったんは落ち着いた。

山田規三生

しかし、左下黒19とアテ込んだときに白20と下がった手に控室がどよめく。
黒21から25と頭を出させたのが予想外だったからだ。

山田規三生
  
黒は白の包囲網を突破して満足できます。
白は20サガリが好形なのでいい加減なワカレでしょう。

溝上知親

白番井山王座の主導で難解な攻防に突入している。
早くも勝負どころ

山田規三生

 白28左上シマリは落ち着いた手でした。

白26から中央の天王山をお互いに打った時に白28は適切な位置になっています.

溝上知親
 
左下隅の変化で私が理解できないのが、白8.14.16の三子の処遇である。
黒25まで、黒に傷が全くない。
普通この白三子は無価値として無視される運命にある。

したがって、
黒29まで、白の前途に不安を覚えていた。
プロの眼は逆で、白の主導という。不思議だった。


高野圭介
 
ところが、今考えてみると、下辺、左下の白は打ち切っているのに対し、
右下の黒はアジなのかも知れない。

私なら絶好のコウ材と思ったのに、白は最後までコウ材に使わなかった。
打ち切りの姿は最終場面に表れた。

コウの代わりとはいえ白は活きてぶっちぎりの勝ちとなるのだが。
全くアマの私には想像も付かぬ世界であった。

高野圭介