歩きの極意


                                        高野圭介




八等身の

「こけし」が歩く


歩く姿勢は八等身の「こけし」が歩くように、
ベタ足の上に腰があり、その上に頭がある。
要は腰から歩くと、足が伸び、背筋が立ち、
いわゆる姿勢が良くなるんですね。

その時使うのは
太腿(ふともも)・腰・腹の3種類の筋肉で、
大腿筋・腸腰筋・腹筋他多くの筋肉が
バランス良く動いていなければならない。


モデル

自力整体
海野る美先生





肛門を締めて
立つ姿勢
ダメ型スタイル
私は腰がグンと伸びて、
ディユーク:更家ばりの気持ち良い歩きだな、と、
思っていたら、だんだん腰が痛くなってくる。

聞けば、腹を突き出して歩いているそうで、
腰に負担が大きく、ダメ型スタイルなのだそうです。


腹筋が弱い

アゴを引いて


一見、おジン臭くなくて、良いのですが、
腹筋が弱いから、腰が参ってしまう。
だから、根本的に修正を加えないと危ない。

まず、肛門を締めて立つ姿勢を作る。
腹が締まってきて、肋骨が上に引き上げられる。
アゴを引いて、眼を真っ直ぐ上を見る。



腹が
締まってきて

肋骨が上に


難波歩き  
何とも面白い話がある。難波歩きのことである。

明治になるまで日本人はなんば歩きが普通だったといわれる。
なんばとは右足と右手、左足と左手を同時に前に出す歩き方だ。
昔の絵を見れば、そういう歩き方や走り方をしている人が目立つ。
ちょうど佐川急便の飛脚マークのような形である。

現在では歌舞伎の六方や能の所作、
相撲のすり足や武術などに残っているなんばだが、
もとは農耕の作業から日本人はこの歩きを身につけたとみられる。

日本人歩き


耳学問だが
いつでも刀が抜けるようにサムライ歩き、
お客様に絶対お尻を向けない女将歩き
日本人独特の歩き
・・などはこの範疇にあるのだろうか。

中でも「日本人歩き」とも言われているのは腰を引いて、
すねを曲げて歩くもので、「私もそうだ」と思えば、
だいたい間違いない。


スーと
足が伸びたまま

歩を出す


手足を交互に
西欧式軍事訓練が導入された明治には
国家によって軍隊や学校を通して
手足を交互に動かす歩き方が教え込まれた。


習い性となったら

片足が沈まぬ前にもう一本の片足を出せば、
水上を歩けるなんて、トンチ話もあるが、

それよりごく普通に、
真っ直ぐな姿勢を保って、電信柱を前に倒すように、
スーと足が伸びたままぐんぐん前に出るような歩きがしたい。

美しく健康的な歩きを、歩いて歩いて、続けて続けて、
この姿勢が習い性となったら、どんなに嬉しいことか。