世界の碁笥:高野コレクション

(Ⅳ)

No..16~20 (24中)

                                   高野圭介






(16)  日本  槐の碁笥


槐(エンジュ)は最高の碁笥

 一般には、碁笥の素材は一口に、桑が第一、欅が第二と言われています。
ところが、ところがです。
 槐こそ最高の品質で、滅多にお目にかかれない棋客垂涎の素材で、槐の碁笥は珍しい。


北海道弟子屈の産

 たまたま摩周湖から弟子屈へ旅行したとき、旅先で碁笥の方から私の方へ飛込んできました。
まさに奇遇でした。 どうですか、見るからに味の良さそうな感じがしませんか?






(17)  日本 小ぶりの碁器



小ぶりの寸法の碁盤には似合った小さめの碁笥・碁石

碁盤の大きさは縦横決まったものでも無い。
コロ(小分けした木の一つの塊)の具合から切り出すから、あくまで目安の寸法となる。
たまたま小ぶりの碁盤になったときは、それに相応しい碁笥碁石が似つかわしい


螺鈿を填めこんだ塗りの碁笥

 螺鈿を填めこんだ塗りの碁笥も込み入った素晴らしいもので、ちょっとした優れもの。






(18)  中国  指導用大盤


上海の陳大均先生発案


 陳さんは北京大学囲碁部。中国の名人教授杯の常連であり、私はとてもよくして戴いた。
その陳さんが指導用大盤を作ったというので、私は10セット購入した。
いま、手元にはこの一点のみである。

 日本のはすべてマグネット式だから、碁盤だけは磁石のくっつくものでなければならない。
陳さんのは布製で、持ち運び自由で素晴らしい。

哀しいかな、今は遺品となった。

海内存知己天涯若此隣

陳 大均

1999年8月15日 於 済南

 




(19)  日本  桑の碁笥


「味よし」・・・桑の素材


 桑の碁笥は、碁笥の中では木質が柔らかく、
碁笥として作られたときから、年代を追う毎に、茶っぽくなり、
色も濃くなった年輪も美しく、年代が付いてくる。最も味が良いとされてきた。


グレードの評価

 碁笥の素材にはいろいろあるが、私が見てきたものの中で、一般には、
栗→花梨→欅→楠→桑→槐の順により高い価格帯が付けられているように思う。

 しかし、これも絶対というのではなくて、木質、木目、形、作成技術等々で評価されるので、
一概には言えない筈だ。

 




(20)  台湾  応式碁石碁笥


応昌期発案・碁器・・完熟期の作品


台湾には Ing-rule で名の通っている応昌期がいた。
応は中国語ヨミで、イン=Ingと発音するから、応さんの創作になる囲碁ルールである。

 終局に際し、4個の空白を作ってコミとする。従って、コミは7.5目黒コミ出しのルールである。
白石180個、黒石181個を埋め尽くして整地する。

 白黒共に、180.181個の碁石を確認してから、対局に入る。そうしないと、計算できない。


初期の作品に比べ、とても使い易い。現今では更に改良されていると思う。