「春一番」は立春後、始めて吹く南風のこと

兼題 「春一番」  大林悦子先生指導

2018年3月15日(木)交友プラニングセンター

                                          高野圭介





次の兼題:: 4月 春昼  5月 子供の日 6月 短夜  7月 雲の峰




今回の兼題:「春一番」の高野選です。


第一席(3点句)   花それぞれ春一番を黙し待つ       横井傘二

発想をもっと遠くへ飛ばしましょう  紫悦 評

第二席(2点句)   春一番噂を載せてやって来る       高野虚石

第二席(2点句)   春一番髪なびかせて別離の日      船越貴穂

春は別れの季節でもあります。
出合いと別れを繰り返して行くのでしょうか
必ず又再会の日があることを信じましょう。 紫悦 評


第二席(2点句)   春一番はぐらされたる花見酒       本  たへ

春一番が吹いて、花のつぼみがしぼんだのかも知れませんね。
花見酒が少し遠のいた感じでしょうか  紫悦 評


第二席(2点句)   春一番人工島の土を捲く          横井傘二

取り合わせの句として良い。 紫悦 評



高野虚石詠 三句


春一番噂を載せてやって来る          虚石


春一番の使い方はもっとも自然で巧い。載せるは・・乗せるか?

取り合わせの句として、とてもよく出来た句です
信じられないくらい(?)良い句です。
噂の内容を言わないのも言いたいことは七割で止めるという
俳句の常道に合っています。
今後もこのような句を作ることを心掛けて下さい。 大林紫悦 評


老いてこそ春一番を待ちかねて         虚石


老いて・・・とは言わない。歳ふりて・・など。要工夫。

老いても未だ元気だという句を作りましょう。 大林紫悦 評



孫も居てオリジナルギフト春一番        虚石

良い句だが、誰が誰にあげるのか?状況説明不充分
(孫から貰うわけは無いのだが・・・・)句としては良い。
オリジナルギフトと春一番の取り合わせが良い。 大林紫悦 評




現代俳句論


「現代俳句は感覚で作るから、意味は分からなくとも良い。
でもね。良い句は後で、意味が就いてくる。」

                        歌会始選者 岡井 隆


梅咲いて庭に青鮫が来ている    金子兜太(現代俳句協会名誉会長 故人)

探梅や庭の青鮫今何処       薄氷                       

               注:インターネット俳句会「一般の部G1」高点句類似句です。



私は阪神大震災の時、朝日歌壇震災俳句特別募集があった。
私の一句が佳作で金子兜太の眼に留まった。

佳作   「生きてるよ」地震三日目の寒電話    高野虚石


タンポポのポポのあたりが火事ですよ      坪内捻典

春宵のブラックコーヒーゲド戦記      稔典の弟子 某

 

現代俳句というのはどこが良いのか分かりにくい。言葉遊びの感さえあります。
「まず、分かりやすい」それが詩の生命だと思います。
もちろん語彙の勉強は必要ですけれど。

俳句も短歌も、いわゆる詩そのものですから。
読んだ瞬間にイメージが拡がり、さらに少し間があって
より深くイメージが心の底に響いてくるのが詩というものだと思うのです。

                      横井 司 識



 
「季が動く」の考察    虚石


どのような季語でもついてしまう俳句を「季語が動く」といいます。
 ではなぜ、季語が動くのか。それは、季語に添えられた事象を見れば歴然です。
添えられた事象がすべてただごとだからです。
こんなことを俳句にしても仕方ない、そんな内容が「季語が動く」に導きます。
取り合わせの俳句の難しさでもあります。

http://matuta.main.jp/archives/19559 ネット句会より


「おふくろ」と照れて呼ぶ子や春一番

つちふるや美少女眠る古代都市

春一番パステルカラーの爪の色

この三句は共に「季が動く」句ではないでしょうか。
季題にうるさいほど注意される紫悦先生の句です。



虫食い俳句 解答


出題 大林紫悦


 

 1
ゆく春や 
 2
日の光 

月の山 
 4
夏草や
 5
最上川
 6
蝉の声
 7
 降り残してや
 8
萩と月
 9
荒波や
 10  
ふたみに分かれ