二分した憲法解釈


「法学の眼鏡」で純粋に憲法を解釈した美濃部説


                                         高野圭介


憲法学説は 「天皇主権説」と「天皇機関説」に分かれた


「天皇主権説」


天皇はすなわち国家であり、統治権はそのような天皇に属する。

これに対して美濃部達吉は統治権が天皇個人に属するとするならば、
国税は天皇個人の収入ということになり、
条約は国際的なものではなく天皇の個人的契約になるはずだとした。

議会の意思が介入することがあれば天皇の任命大権を危うくする
(上杉慎吉『帝国憲法述義』)。

天皇大権の行使には国務大臣の輔弼を要件とするものではない
(上杉慎吉『帝国憲法述義』)。

 天皇は議会のかかわりなく自由に国務大臣を任免できる
(穂積八束『憲法提要』)。


「天皇機関説」


 
「天皇機関説」

統治権は主権の所在法人としての国家に属し、
天皇はそのような国家の最高機関即ち主権者として
、国家の最高意思決定権を行使する。


「輔弼天皇機関説」

天皇大権の行使には国務大臣の輔弼が不可欠である
(美濃部達吉『憲法撮要』)。


「責任天皇機関説」

国務大臣は議会の信任を失えば自らその職を辞しなければならない
(美濃部達吉『憲法撮要』)。