「おもしろ詰碁」の総力戦




制作;井原嗣治  と 監修:高野圭介

                                              高野圭介


棋友・井原嗣治さんが骨折で入院したと聞いた。
数少なくなった棋友の、その中でも郷土からの親友で、半世紀もの間、甘いも辛いも一緒に過ごしてきた。

早速、碁盤・碁石・碁罫紙・赤黒のペンを差し入れしてのお見舞い。
それから20日後、奥様が突如体調を狂わせて、緊急早めの退院となった。

その後ややあって、どさっと詰碁の束が私に郵送されてきた。
その束には500題の詰碁(解答の無い)がぎっしり。
「コピーを取っていないから後はよろしいいように」の一文で、処分を一任された。





井原さんは2003年~2005年の当時、丸2年間で5,000題の詰碁を作った記録がある。
その様子は、毎朝5時から6時まで1時間に7題の詰碁に挑戦したという。

並々ならぬ努力でもありますが、井原さんはアマとしては詰碁の天才でありす。
今回の20日間の創作500題は生涯の作品集として永久に残ることでしょう。

この旨を将碁友の会に報告し、精査して「おもしろ詰碁」を世に出すことにしました。
その間は須磨・風鈴会の皆さまで全力を挙げた総力戦でした。


最初は井原さんの「やさしい詰碁」指向を尊重し、アマなればこその許容の範囲を設けようかなと思いました。
とは言え、詰碁はどこまで行っても詰碁です。生き死にには、アマもプロもありません。
問題の選出や詰碁の解答について、常識的な四原則の態度で、シビアに対処することにしました。


詰碁四原則

 

1.初手は一箇所のみから。
 

2.余詰めがあってはならない。


3.模倣・真似は許されない。
 
 
4.無駄手は手順に含まない。


ただ、模倣については、囲碁に同局無しというのとは意味が違います。
井原さんの制作態度に独創という立場が確認できるので、問題ないと判断しました。
ここに以上の原則に則って「詰碁100題」を選定しました。

詰碁80題。(入門20題。初級20題。中級20題。上級20題。計80題。) コウ20題。 計100題


「おもしろ詰碁」
以上の詰碁条件を満たす詰碁から、発想の面白さ、鮮やかな筋、簡素で美しいのを選びました。
取り組んで分かったことは、詰碁にはだいたい三種類あります。
中の詰碁、辺の詰碁、隅の詰碁です。

中は、石数の割りには面白いものが少ない。
隅は二の一を筆頭に、変化の坩堝で、プロの世界。
辺が詰碁としてはとてもおもしろいジャンルです。

いきおい、変なところでもないが、辺の詰碁が主力となりました。

制作 井原嗣治    管理 川口隆司    協力  風 鈴 会    監修 高野圭介

 
上級でも最難題の一つをお目に掛けましょう。




 「上級詰碁」の難解中の難解の一つ


「活人剣は殺人剣。生死さまようつばぜり合い。碁は形の崩し合い。
眼形・地合のやり取りと、崩し合いつついじめ抜く。腕に覚えの先手の手筋。」