@アムステルダムからドイツ入り


 ミレニアムはヨーロッパのキリスト教社会では特殊な年回りに当る。
世紀末という特別な意味を持つ一つのエポックに、
ヨーロッパの碁会がベルリンで催されるとは
もう二年も前から知らされていた。
 折りしも碁を打ってヨーロッパを歩こうと呼びかけ、
応募された34名と連れ立って出かけた。

8月2日、アムステルダムを振り出しに、16日帰国までの二週間、
世界文化遺産の中でめぐり合った数々のことを想起している。

   冷たくて小さなワイン機内食

 アムステルダムからミュンヘンへ飛び、
そして、ノイ・シュバン・シュタインへ辿り着いた。

    ワグナーの壁画冷たし白鳥城

 ちょうど五年前、私が単独行で訪ねたときは入口辺りから込み合っていたが、
今年はなぜか団体客の列が少ないようだ。
 思い返せば、1995年8月23日のこと、
入場券の売り場には65歳からシルバーの割引があると表示があった。
私は8月25日生まれでもう二日で該当する。
「もう二日でシルバーなのですが。」と言うと、
「おお、OK」と。何がしかの割引で切符を手に入れた。

 それから二、三年後のこと。
広島は安芸の宮島を訪れたことがある。
船着場の窓口で仲間の石井久光氏が身障者証明の持参を忘れていたが、
割引をお願いしたところ、証明書がないから駄目と受付けてもらえない。
一見して分かる本人が目の前に居ても、駄目なものは駄目だった。
 
つまり日本は書類主義。ヨーロッパは申告主義。
責任の所在は日本では管理者。西洋では申告者。
したがって、もしも瑕疵があった場合、西洋では自主申告した罰は
申し開きが出来ないぐらい厳しく罰せられるという。
 考えさせられた。