Hヨーロッパ囲碁界を振り返る


 今回の旅で、ヨーロッパの碁友のマナーが抜群であったのが印象的であった。
日本人も決して悪いというのではないが、傍若無人の謗りもある
日本人のそれとは、体質的に異なっているように感じた。

 さらにもうひとつ。碁の芸、技量の問題である。
今回の成績で、大阪の強豪・角倉康之8段が8位入賞を果たした。
トーナメントで8位というのは、トップグループ8名の中で、3連敗したことであるが、
本大会はスイス方式だから、全く別なのだろうが。

 これは単なるひとつの現象にしか過ぎないが、多くのことを物語っている。
角倉氏は朝日アマ大阪代表。日本でもベスト10に入ってもおかしゅうはない実力者。
つまり、もの足りないか、見事と取るか、あるいはやっとと受け取るか、
いずれにしろ、オール日本と、オール西洋が殆ど同グレードを意味する。

 あたかもレスリングで、鉄棒で、マラソンで、世界のトップに立ち得る日本があるように、
逆に囲碁の世界でも日本が5位、6位に甘んじる日が無いとは断言できない。
 ましてや囲碁を囲碁道と心得て、真摯に取り組んでいるヨーロッパの方たちのことだ。
もしも、西洋に突如として韓国の李昌鎬のような大天才が出現すれば、
一気に全体のレベルはグレードアップされることになろう。
そして現在は日本、中国、韓国と、東洋勢がトップグループを形成しているが、
とたんに全世界が横一線に並ぶことになろう。

   揺れもせぬ機体の窓の積乱雲

 人生は金太郎飴。自分では気が付かないが、
傍から見ると、いつも同じことをしている。
これからも生きてきたそのままの延長で老いるだろう。
いつもの好奇心がまたもきょろきょろしながら
また旅に出るのだろう。

                                       完