四月馬鹿

                       2022年4月1日 万愚節

                       高野圭介 記


 

川柳 「四月馬鹿」






家事ヘルパー来られる前に掃除する。


美味かった何を食べたか忘れたが。


何回も聞いたはずだが初耳だ。


へそくりの場所を忘れて妻に聞く。


仲いいねいいえ夫は杖代わり。


探し物やっと探して置き忘れ。


朝起きて調子がいいから医者に行く。


納得をするまではかる血圧計。


延命は不要と言いて医者通い。


日帰りで行ってみたいな天国に。


 


俳句 「四月馬鹿」



         万愚節吾が祝日に相応しく  虚石

春埃もぬけの殻や色褪せて

坂急やそれはそれとて四月馬鹿

万愚節ゆるりのんびり風車



なに思う手足のびのび四月馬鹿

風薫る融通無碍なる石いのち

定石の生きざま床し月朧

木蓮や散って悲しき四月馬鹿

忘るるといふ美徳なり古袷

四月馬鹿清談はずむ仙境に




俳句 「四月馬鹿」


今年、数えの92才となった。
お陰で、よく食べ、よく寝、よく笑い、
体調はまずまずで気にするほどではない。

以前に、米寿・卒寿と多くの方から
お祝いの会で長寿を祝福してい戴いた。

現在、ジムのコパンでも、
元気で通っている90才の男性は私独り。
しかし、筋トレ、スイムなど緩慢でスローだし、
きっと、我が儘なことも多々あると思う。
迷惑だろうが、「歳」ということで、
温かく許容して頂いていると思っている。

春入り日すでに已むのみ脳憩ふ  虚石







どうも幼いときから好奇心旺盛の「ヘタの横好き」で、
将棋等手当たり次第やってきた。
冬の独楽回し。春の蕨狩り、夏のギギ釣り、
秋は駆けっこと、野山を駆け巡ったものだ。

終戦後、14歳の時は中学2年。
竹刀を捨てて軟式テニスのラケットに代わり。
母から小倉百人一首に首ったけ。

今では囲碁アマ8段。そこそこ打てても囲碁界では
「中の上」ぐらいかな。
歳でも囲碁だけはぼちぼち棋力が維持できている。

それとても、いつの日か、碁石を持ったまま
ストンstoneと落とされそうな予感があるが。

落とされてざまぁ見やがれ万愚節  虚石





チェスは将棋同等に出来る。
俳句は淡水句会・交友句会に属している。
スポーツはテニス・卓球共に75年も付き合ってきた
それぞれテクニックは些かは残っていても、
90歳という身体が動けない哀しさは致し方ない。

おそらく、ゴルフ・太極拳も同様だろう。
クロ-ルで、水泳・マスターズ90特訓中ではあるが、
コロナで延期され、予定立たず。メイファーズ。

四月馬鹿大ほら吹きも藝の内   虚石







年々歳を感じている。日本人平均寿命は
女性87.74歳 男性81.64歳 いずれも過去最長とかだが、
もう、10才も長寿。夫婦共々嬉しい日暮らしだ。

ふと、気が付いた。なんと、5年先は97才。
この最後の5年間で、一体何が出来るか?
真剣に考えるワンチャンスだ。

惚けと共棲しながら衣食住は今のまま変わらず、
旅行など生活の彩りは遠のき、
ジム通いと運動・趣味などの平々凡々が至高。

これを支えて戴くのは人間関係が最も大切で、
「老いては子に従へ」ではなく、
「老いては友と交われ」。それ以外にない。

ほどほどの惚けの住処や四月馬鹿   虚石