人間万事塞翁が馬

                                   堀江浩自戦記

家田隆二八段 vs 四子 堀江浩

2007年2月17日 於隆研・神戸サロン
188手完 黒中押し勝ち



この碁は序盤に誤算があって大敗してもおかしくなかったのに、
幸運にも最後は勝たせていただいた。



まず左下隅で26.34とノビたのが、甘かった。
白35に左辺のワタリを止められて大損をした。
31のキリを許さないように打つべきであった。


局面が進んで、右下隅コウが生じた。
家田先生の評では黒156はヨセコウになるから、
155の左をキル方がよいとのことであったが、
それだと白は156にツギ、次にその下にさがって黒が追い落としを防いでいるあいだに
125の左に伸びてゆけば2眼はできる。

家田先生はそれでも黒はコウに負けるよりは悪くないという判断だったのかもしれないが、
それなら初めからコウをしかけなかったからなんともいえない。


それよりひどいのは164の無コウを打ったことである。
白にコウを解消され157に切られて、なんのためにコウをしかけたのかわからない。
こんどこそ負けを覚悟したが、
ただよく見ると、黒の166によって白の中央の大石がうすい。


私が最も気にしたことは、白は167にキラずに164の上に打って、
左右の白を繋いでおかれることだった。分からないが、
しかし、それは杞憂というものであったらしい。
これを一縷の望みとして、何とか勝ちを拾うことができた。

ほんとうに人間万事塞翁が馬である。
家田先生は序盤での左下隅の黒の失態に戦意を挫かれたのかもしれない。