4線へのカケは、遊び心か、この一手か?

                                  高野圭介自戦記

家田隆二八段 vs 二子 高野圭介

2008年1月17日 隆研・神戸サロン
162手完 黒中押し勝ち



ああ、巻子も緑子も今現在、言葉が足りん。
ほいで、ここで見ている私にも言葉が足らん。
伝えることが、何もない。・・・・


芥川賞受賞が決まった川上未映子の小説『乳と卵』の一節である。

 
長くうねるような言葉、そこに物語がある。

 ーー2008年1月18日 毎日新聞コラム「余録」ーー


「遊び心」か
「この一手」か


本局も、黒25から長くうねるような手談が始まった。

先生は、白25まで、石の接触もなく、
言葉がまだ足りないが、互角と断じた。

黒26と、4線にカケとは「遊び心」と映ったようだ。
でも、私は「この一手」と確信していた。


最大の岐路
黒30が最大の岐路。
先生は62ヒキと言われた。

もちろん視野にあったが、私は中を重視し、
34ノビキリこそ要点と断じて、30とオサエた。

まったく違った碁になっただろう。

案の定、強烈なネジリ合いで、黒68まで、分かれた。

先生はこの変化、だいたい最善に近いと評。


長くうねるような
手談


後は長くうねるような手談の応接。

黒は82.84と、上辺を破ったが、
白は109から右下を食い破って活きた。

黒162まで、もう紛れるところもなく、白投了。