妙手「ホウリコミ」が起死回生!
ーー反棋理と超棋理の間ーー

                                           宮垣 実自戦記

家田隆二八段 vs 五子 宮垣 実

2006年8月19日 於隆研8月・神戸サロン
140手完 黒中押し勝ち



私の欠点は「棋理」についてのようだ。
家田先生の評もだが、高野先生の評も同じく、「棋理に反している」というのが多い。
私の棋理と、一般の棋理はどこかで食い違っているのか。

一方、碁吉憲章に「我々はそれぞれの囲碁観を持っており、それは侵されない」とあるが、
それぞれの囲碁観に、その人の棋理があるのではないかと、考える。 
黒の何十手という手数の中に、反棋理がいっぱいあるのに、
棋理を超えた私の棋理の一手がたまたま炸裂して、
悲観していたのに、勝ちを収めることとなった。
故に、いよいよ分からなくなってくる。


家田評
先ず白7に対する黒8は棋理に無い手。守り過ぎで、
一足延ばして、「ハサミ・ビラキ」をノビノビ打つのが棋理に適っている。


黒10は封鎖を避けて、11と、首を出しておかねばならない。
黒10は2つの罪がある。
1つは白に封鎖を許したこと。
2つは下辺に黒が4個並んで、偏している。


黒16の次に手抜きして、黒18とツケていったのは
何を目的に打っているのか分からないと言われた。

私に分からないのは、白もそれを咎める正着が
打てていないのは何故なのだろう。

宮垣説
白35のハサミツケで隅の黒は死んだと思った。

黒36から精一杯頑張っていたら、
黒46のホウリコミで隅の活路が開けた。
一生懸命考えていたら結構よい思案が出るものと喜んだ。
この妙着一手で、一気に勝勢になるとは驚きである。

盗られることと取らせることとの違いは苦しみながら考えるか、
あきらめて盗られてしまうかの違いである。


家田評
黒50はミス.
黒52も不要不急の手。
黒64.68はものが小さい。


宮垣説
白121をトルために黒136からアテていったとき、
先生が投了されたが白は黒に121を取らせて打つことが
よかったのではなかったかと今も思っている。