礼儀正しい天才少年

坂井15才少年が本田邦久九段に2子局で4目残した

                                                      高野圭介




坂井秀至 碁聖戦 五番勝負

 

 三木正編集長
かって、
「月刊碁学」に坂井少年(当時全日本中学生チャンピオン)の棋譜が掲載れたことがある。

その記憶に基づいて、当時の三木正編集長にお会いして、もろもろの話を聞いた。


天才宇太郎が
天才と認めた
坂井少年


かって、「雨洗会」という橋本宇太郎総帥の碁会が関西棋院で催されていた。
三木正は本会事務局。私も宇太郎先生には殊の外温かいご指導に与っていました。

宇太郎先生の坂井少年評は「礼儀正しい天才だ」そうです。

私は宇太郎先生からお聞きしていた言葉は
「東野弘昭は私が発掘した天才です。」でしたから、
天才宇太郎が天才と認めたのはこの両人であった。

合田寅彦の示唆
アマとプロの碁について、碁は一つのものであって、
本質的にはアマの碁・プロの碁という区別があるはずがない。

アマとプロの接点を求めるならば、という悩みに、
合田寅彦(現代囲碁体系全47巻・講談社企画者)が
「子どもの碁を取り上げればよい」と示唆を戴いた。


坂井少年 対
一流九段との
2子局を企画

 


 それを受けて、
白番 依田紀基 vs 先番 坂井秀至(逆コミ5目)で、盤面持碁(囲碁クラブ企画)から、

このたび、
月刊碁学で、坂井少年対一流九段との2子局を企画した。(三木正編集長記述抄)

 
さて、坂井少年と九段戦の棋譜は次のようにして生まれている。
(三木正記述を要約したもので、微妙なニュアンスは消滅している)

 ヨミの坂井   
棋理とかヒラメキは教えたら分かる。
ヨミに裏付けられた地力が真の実力である。

本局でも、中盤の終わりから終盤にかけて、坂井君の実力が出ている。

公開の席で、「ヨセは秀行先生よりもうまい」と、言われ、
秀行先生が苦笑していた頃よりもすでに、数年経っている。

ヨセの坂井
本局は273手完。

坂井君は終局までの140手の内、半分の70手を秒読みの中で打った。
黒170の1手は悪手だったが、それ以外、完璧に打った。

どちらかというと、秒読みに慌てたのは時間の有り余った白で、
信じられないような坂井君の強さを見せつけた。




本田邦久九段 vs 2子 坂井秀至
              当時灘中学生15才

1988年4月8日 於 三田市坂井邸
持ち時間3時間
130手以下略 黒4目勝ち

     記録・観戦 三木 正
     月刊碁学1988年7月号より転載