礼儀正しい坂井秀至先生の囲碁マナー 浜辺 荘
坂井秀至・碁聖戦シリーズ |
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世界アマの 兵庫県大会決勝 |
坂井さんは1993年、京都大学医学部に入学しましたが、 その前年、92年に、世界アマの兵庫県大会決勝て対局しました。 私は三田市小学校教諭の池田さんを破って、 決勝で、坂井さんとの一戦でした。 主催者は決勝と三位決定戦は日を変えてと言われましたが、 坂井さんの都合で、「今日打っちゃいましょう」と言うことになりました。 結局、坂井さんが優勝。私が2位。池田さんが3位でした。 終わってから、近くの喫茶店で、祝勝会となりました。 |
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対局時計の使い方 (相手が押し忘れたときどうするか) 浜辺 荘 私は大会の時計の使い方について以前から聞いてみたい事があったので この時、坂井さんの考え方を聞いて見ました。 |
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父のアドバイス | 私は、中学2年のとき三重県の朝日アマ十傑戦予選で、 前年度チャンピオンを破って県大会決勝ベスト16に進みました。 そしてこの時初めて時計を使う事になったのです。 心配した父は、時計の使い方について私にアドバイスをしたのですが、 これがちょっと変わったアドバイスで 「あのな、 相手が時計を押すの忘れとったら、考える振りをするんやで。 そしたら相手はこちらが考えてるのを見て、 時計を押し忘れてる事に気がつかへんから」 私は、なるほどと思いましたが、 ちょっとフェアーじゃない様にも思いました。 |
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考えるふり | 果たして試合が始まると、相手が時計を押し忘れます。 わたしは父の教えに従って考える振りをするのですが、 ここで予想外の心理的な乱れが私の中に生じてきたのです。 碁では集中力が勝敗を分ける重要なポイントなのですが、 相手が時計を押し忘れると、微妙に私の心理の中に 「このまま気がつかないでくれ」という邪念が入り込んでくるのです。 結果私は実力が出せずに敗退してしまいます。 私は、それ以後父の教えである 「考える振りをする」事に悩まされ続けていました。 |
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流石、坂井さん | もちろん坂井さんに負けたのはその事が理由ではなく、 はっきりと実力に差があり、安全に負かされたのですが・・・。 坂井さんはそういう時どうするのか聞いたとき、彼の答えは明確です。 「自分の考えがまとまったら、相手の時計が回っていても打ちます」 これなら、相手に「時計を押してください」と塩を送ることもなく、 かといって心理的な乱れが生じる理由もないのです。 |
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邪念が怖い | 私はそれ以後この方法を取り入れて大会に挑み、 邪念が生ずる事もなくなりました。 もちろん相手によって時計の押し忘れを教える事もありますが、 度々だとまた違った邪念が入り込むので、ケースバイケースです。 |