坂井秀至碁聖の心を覗く

                                                       高野圭介

 待ち遠しい「週間碁」が届いた。 もちろん「坂井新碁聖」の活字がまぶしい。

 私が一日中パソコン2台に無我夢中で首っきりだったとき、
対局者坂井碁聖は「無我夢中」であった、と述べている。

 

 高野さん

憑いてはるで


坂井碁聖が誕生したとき、イの一番、。坂井先生のご自宅へお祝いの電話をした。
私のが最初の朗報だった。

原田芳宏さんから引き続き電話が掛かってきた。
「碁吉会が応援して秋の大会が大いに賑ぎあうだろう」と言うことで、
「高野さん憑いてはるで!」と。
 私は「私が憑いているから、先生も勝てたんかなぁ?」と笑ったものだ。

 事実、大勢の方々から電話を戴いた。メールも来た。

「碁吉会の熱烈な応援があってうれしい結果になりました。
20周年のイベント最高のものになりますね。  加田美保子


 張碁聖の

負けパターン

 
坂井挑戦者と第3局の後、電話で話したとき、
「まだ、一ヶ月もありますから、良く準備して今度は頑張ります」と、謎のようなことを言われた。

私はこの謎の意味がようやく分かってきました。

「私は第4局を前に、張碁聖の打ち碁数100局を集め、その中から負け碁を数10局を選びました。
そして、張碁聖の負けパターンを徹底的に調べました。」


「なるほど、そうだったのか・・・ようく分かりました。」


 2勝は何の

意味も持たない


第5戦を前に、坂井の決意の程を知った。

「ようやく、2勝2敗となりました。次の決勝戦を克ち得なければ、この2勝は何の意味も持たない。」


 週間碁の報道ですが、碁聖に就いたとき、

「今日、勝ったからと言って、来年の成績が悪かったら、元も子もありません。」

 戦いの前にも後にも、常に剣が峰に立つ決意には裂帛の気迫を感じるではないか。

 冷徹な心
 テレビの龍星クラブで聞いたことだが、オフレコの場だったか、坂井の弁である。

「実はこの第5局、勝っても負けても良かったんです。
燃えるような気迫を打ち込める碁が打ちたかったんです。」


 まあ、何という言葉でしょう。落ち着きというものでもない。単なる冷静というのでもない。
いつも冷徹な心で自分を見つめている人なのです。


 坂井一家
 たまたま2009年7月4日アマダホテルでの結城聡NHK杯制覇の祝賀会で、
坂井先生本人とご両親に出会った。

私は坂井秀至先生ご一家の方々とは故郷を同じくし、旧交を温めた。

 アマとの碁
 実は、碁吉会20周年の時、公開対局を催そうと決めた。
頭に浮かんだのが、坂井秀至vs高野雅永の対局だった。
 その旨、秀至先生本人に申し上げたら、
「おあ、雅永さんと打つんですか、良いですよ」と事も無げに了解された。

 お母様は「へえぇ、あの子、そう言いましたか。
アマの方と打ったのは聞いたことがありません。懐かしかったのでしょう」と言われました。


祝賀会


凄い予見


 
 2010年秋の、碁吉会創立20周年記念囲碁大会に、坂井先生を迎える。

そのとき・・・坂井先生が全日本の偉大なタイトルに挑戦されている最中なら、決起大会!

 もし・・・タイトル保持者となられていたら、大会あげて、祝賀会となろうことも夢でもない。

そうなれば、いよいよ今回の結城先生同様、前途洋々の将来に、万雷の拍手で応援したい。

何もかもが実現 
このことを、2009年7月の碁吉会のホームページに記載した。
http://gokichikai.on.coocan.jp/fujiiprovskono01.html
cf
結城聡NHK杯制覇の祝賀会

何もかもが最高の形で実現したのである。 



アマとは打たない

坂井碁聖


矢田直巳九段はこの公開対局のことを知ったとき、
「私は坂井プロのアマとの碁を見たことがない。関西棋院のプロは、誰も見たことがない。
なぜなら、坂井さんはアマとは打たないから。

その公開対局の解説を私にさせて欲しい」とご自身から買って出られたのである。