いぶし銀もヨセ切れなかった

白番 碁聖 張 栩 vs 黒番 坂井秀至

2010年7月20日

184手以下略204手完  白中押し勝ち

                                                  高野圭介観戦記




第3局を前に、坂井挑戦者は「いよいよ正念場です」と決意の程を吐露して、コロッセウムに向かった。


「後手の先」とも
言うべき

渋い忍の碁

 

序盤、右上、右下共
島村俊宏を思わせる
「後手の先」とも言うべき渋い忍の碁
左上も隅からのコスミツケから、渋い。
ここで、挑戦者の腰の据わったいさぎよい心底を知った。

ただ、
白の碁は自由奔放で広い碁を志向している、
思わぬところで、戦いが生じ、どこかに地が着きそう。
極端に違う立場のスタンスである。

三隅打ち終えて、
両者の持ち味から、上辺黒45ツケから中盤への序曲。
いよいよ第3戦の正念場である。

 
いぶし銀
 コウが始まった。最初の転機。

全然気の付かないコウだった。
如何にコウの張羽といえども、コウ材は皆無とは。
さすが、いぶし銀。

コウを収束したが、黒は全体にちょっと低すぎるキライがあって、
黒は右辺の持ち込みは避けてからしか、上辺を継げないジレンマがある。

形勢判断
今村俊也・王銘苑は厚み派で、中央の厚みは白良しの判断。

黒地キャッシュ70目。白地の確定地となると、約手がほとんどだが、
上辺の2子を制して、白の地もそこそこある。

シノギはあるか?
 午後は第3回の転換期。

左辺肩からの消しが奏功するか?巧くしのぎきって欲しい。

手順を尽くした張羽の攻めは、凄い!黒が活きを確認したとき、
白122と左辺を下がり、白124で中央に地が付いたとき、
白は盤面で残っている。

 やや白優勢か
今村俊也の形勢判断

黒地は
右上隅から右辺は約30目、左上隅約20目下辺約10目で、合計約60目
白地は、
左下隅約20目、左辺約10目、中央約15目上辺約15目で、合計約60目。

やや白優勢と思います。

奮迅のヨセ
黒の奮迅のヨセが始まった。
万策尽きての終局は投了となった。

どこから不利になったか?・・・黒は全般に低かったが?

今村俊也総評
序盤から変化に富んだ面白い一局でした。

上辺、コウが始まった。最初の転機が、問題で、
これで、黒161(3の11)に下がっておくところ。

黒の疑問手から優勢に立ってからは、
危なげない打ち廻しで勝ち切り、
張碁聖の名局と言えるのではないでしょうか。

 

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