詩「冬の蝶」
横井 司
2022年3月23日
神戸新聞入選
詩
「冬の蝶」
横井 司
酒好きの上ちゃんが
亡くなったと喪中ハガキがきた
私はそれを三回読み返し
やがて運動靴を穿いて玄関の扉を開けた
外は冬晴れのいい天気
三歩歩いた時
一匹の白い冬の蝶が
隣の塀を乗り越えて飛んできた
そしてその白い冬の蝶が
私の前で
明るい日向の方へ誘うように
少し酔ったように
少し笑っているように
ひらひらと舞い始めた