詩「ようやく」

                  横井 司

2021年9月15日

神戸新聞入選




「ようやく」

                       横井 司

そう
私は今から
詩が書ける

あれから
五十年という
長くもあり短くもある
時間の流れの中で
ようやく
言葉が目覚め始めたのだ

すでに
愛も死も
昔ほど
怖れることもない

すでに
私には
日本語という
美しい言葉がある

ようやく
忘れかけていた世界に
辿り着いたのだ

そう
私は今から
詩が書ける