新風節 囲碁大会  特選棋譜

吉田 健   vs  九子 杉田明子

165手以下略    白中押し勝ち

                                観戦記   高野圭介


 

 垂水の妙好人
 風鈴会の重鎮同士の対局。

杉田さんは人生観として、相手を打ち負かしてやろう、とか、
相手より抜きん出てやろう、なんていう気持ちはからっけしもない。

困ったり、病に罹ったりした人などに遇えば、
自分のみをも省みず、挺身して手を差し伸べずにはおれない。
まさしく、
現代版・垂水の妙好人である。

この妙好人は「先んずれば制す」というような囲碁の世界に
嵌まり込むことなど、根っから出来ないのです。

 太公望の故事

4000年も前の周時代、太公望呂尚の故事

    太公望は、毎日渭水のほとりで釣りをしていたが、
  先の曲がっていない釣り針に餌もつけず、川の水面に垂らしていた。
   人に馬鹿にされていたが
後日、まさに賢人だったと分かり、
   周の文王に迎えられ、武王を助けて殷を滅ぼした、というものです。


明子妙好人ははまさに現代版太公望。

明子さんには釣り針を付けないで竿を持っているような
春風駘蕩の大人を感じませんか?」


 春風の鈴の音
なぜ、風鈴会に籍を置いているかって??
春風の鈴の音が気に入ってしまって、おられるようです。

人間離れしていて、妙好人の素晴らしい碁を堪能してご覧下さい。

ちょっと上手い碁ぐらいはその辺にいくらでもあります。
しかし、この碁には、また格別の味がある。


何と、素晴らしい!