3月28日   天空の十字軍・騎士の城



翌28日には、ホムスを出発。
世界遺産のクラック・デ・シュバリエ
(騎士の城)を観光。


山の頂にたたずむその城は、
英雄サラディンがひと目見ただけで
攻略をあきらめたという。


アラビアのロレンスが学生時代、
「世界でもっともすばらしい城」と評した
機能美に満ちている。


同時に、
花々が咲き誇る高原に
白く可憐に座したその姿から、
旅人たちはこの城を「天空の城」と呼ぶ。

われわれはシリアの世界遺産、
クラック・デ・シュバリエを訪ねた。


12世紀から13世紀の十字軍の時代に
聖ヨハネ騎士団によって建設された。

その後、
アラブ側に奪われた城砦である。




十字軍の歴史


1095年、フランスのクレルモンに於いて、宗教会議が開かれた。

教皇ウルパヌスU世は言った。
「東ローマがトルコの侵入に苦しめられている。
聖地エルサレムはセルジュークトルコに支配されて、巡礼者も迫害されている。
協会は焼かれ、キリスト教徒は殺され、神の王国は滅亡の危機にある。
今こそ、十字架の下に集まって、聖地を脱会せよ」

これから200年に亘る壮大な十字軍遠征が始まった。


十字軍遠征の持つ意義は立場が違うと、・・・

キリストサイドとしては
西欧社会の対外的膨張運動の一つ、と捉えられる。

いっぽう
イスラムサイドとしては
400年に亘る先進国・アラブ支配社会への
野蛮な後進国・西欧からの不理塵な攻撃であり、
エルサレムを守る聖戦であった。

戦いのほとんどが、十字軍の城攻めであった。



小高い丘の上にほとんど破壊されずに
残っている石積みの巨大な要塞だ。

城のなかは
白人、アラブ人、日本人などの
観光客で一杯だった。



第1回十字軍の進軍の途中、
現在のトルコ、シリア、レバノン、
イスラエル周辺に
数々の十字軍国家が誕生した。

隣接するイスラム教国との間、
特に見晴らしのいい山頂に城を築き、
防衛線を張った。
これがキャッスル・ベルトだ。



クラック・デ・シュバリエは
もともと1030年代に
イスラム教徒によって造られた砦だった。

しかし、
第1回十字軍の進軍中に落とされて
トリポリ伯国のものとなった。

その後、1144年に
ホスピタル騎士団に移管された。


このあと守備塔が加えられ、
分厚い城壁が設置され、

城内には
広大な貯蔵庫が用意されて、
数年間の包囲にも耐えられるよう
整備された。