クロールの怪



                                    2015年12月1日

                                      高野圭介

ふるさと山崎  
ふるさと山崎は清流の揖保川、秀麗の最上山に囲まれた人口一万の田舎町。
それでも、子どもが「山崎は都会か、田舎か?」と聞いていたような町だ。

      兎追いしあの山 小鮒釣しあの川・・・



位置的には揖保川の中流にある。

川へ浴びに
 子どもの頃、夏は川へ浴びに行った。泳げない者には浴びるしかない。
アビるとは犬かきぐらいで、ぽちゃぽちゃと水と戯れる感じの泳ぎで、
体質のひ弱な自分はそれでも浴びるのが好きだった。

ぶきっちょな私は魚を釣ってもギギという小魚を穴の中から2匹釣った
ことがあるだけで、他に私に釣られる魚は居なかった。

 その頃、
一人のおじさんが揖保川の十二ン波をスイスイとクロールで泳いで行く。
「よう、あんなことが出来るなぁ」と羨望の眼で見ていた。

クロールで泳ぐ  
 時経て、今はコパンの常連である。毎日泳いでいる。
あこがれのクロールで泳いでいる。ただ我流のままだ。

 ある日のこと「あなたはクロールで泳いでいると思っているかも知れま
せんが、スクールでキチッと習ったら如何ですか?」という人が居た。

見ると、抜き出たような綺麗な女性。なるほど、言われる通りだと、
独りで感心もし、人にも言えず驚きもした。



 三倍の早さ
 いつだったか、隣のコースに強烈ラッパのグイグイ泳ぎをする人が居る。
私は挑戦した。ヨーイドンと並んでスタートを切って、
腕も折れよと水車のように25meterを泳ぎ切った。
すると、その人は私のスグ後からタッチしてスーイと泳いで行った。

 何と、勝った!・・・と思った瞬間、彼が行って返って又来て・・・つまり、
私は「3分の1の早さ」であったことに気が付いた。クロールの怪である。

健康増進の師


 その人が誰あろう、石飛肇アスリートであった。

 それから、二人は急接近。今では私にとって水泳どころか
健康増進の師となっている。そして「須磨ヘラクレスクラブ」が生まれた。