一眼二足

                                                高野圭介

全身で表演
太極拳は頭から足の先までの全身で表演する。どこが大事でどこがどうということはない。

アクロバット
上半身をすっくと支え、足を自由に操るトップクラスの演技はまた格別だが、けったいなことも起きる。
新体操から転向した人は蹴るときに、頭の上までアクロバットのように上がってしまう。
それが試合ともなると高得点だそうな。

ヤジロベェ
佐藤靖子先生の話だと、
演技の基礎体力は足で、蹬脚(トンチャオ)のとき足を揚げると身体が歪んだり、
下勢独立(シャーシートゥーリー)は脚力が要求される。
金鶏独立(チンチトゥーリー)は片足立ちで、ヤジロベェのことだ。
従って、脚に70%のウェイトがあると言う。級から段の審査では足が重要なポイントとなる。

意識の問題
いよいよ高段になると「今、何をしているか」が問われる。
つまり意識の問題で、意識が演技に表現されねばならない。
形では「決める」という動作だが、意念の窓口は眼。
しっかり訴えるのは「眼」で、眼は百ほどものを言う。眼の強弱でもっと表現せねば。

一眼二足
五体不満足も実にたいへんだ。
また一眼二足とは故障したら人の最も困るかという場所と言われている。
三重苦は「見えず、聞こえず、喋らず」だが、
「見えず、歩けず」の二重苦でも同様に大変な苦であろう。
使えるあいだにしっかり使おう。

くさび
くさびだから 一番大事な ところへうつ
くさびだから 見えないように うつ
                             みつを