多羅尾高原:避暑吟行ツアー

2019年7月3日~8日



終点に忍者えもんや夏の駅

                              高野虚石 吟詠




旱天も雨にも負けず夏電車

深緑の気配も埋めし休耕田

棚田にも青田の匂い来たりけり

痩せ細る高原の木々夏の霧








寺の屋根隆々天や山清水

山荘や蚊取り線香隙間風









攻めあぐみ守るに難し渋扇子

古扇子AI囲碁の幽玄境










山椒の香りて夏を浄めけり

梅雨上がり寄せ合う歯朶の生気充つ

朝霧か花の蕾か白光る









客待ちて姫山も有り鹿の子百合

二昔三昔前の盆ばなし

円座して夏の乙女の蘇る








午前四時これが夏かよまた寝入る

苔清水朝の儀式や鳥の立つ










水清く空気も清(スガ)し沙羅の花


青柿を狙う烏の二羽三羽


朝涼や飛ぶ蛾の命小(ち)さくとも


 




濃く薄く緑の草へ薄日射す


信書焚く悲壮感あり夏の夕靄







AIの迷手に呻る燈涼し







棋譜吟句無上に興じ合歓の花