ご挨拶

                                  高野圭介






新年のご挨拶

         
                      2019年1月21日

                                高野圭介

1988年、イギリスを巡る一人旅をしました。ロンドンからヨーク、エジンバラ、インバネス、
スカイエ島、グラスゴー、ウインダーミア、ストラットフォード・アプオン・エイボンと
一ヶ月近く何の予定もない汽車のきまぐれ旅行でした。

一周してロンドンに帰ってからいろいろ難渋したのに何か楽しくて仕方がない。
つたない英語を頼りのほんの一人ぽっちの旅だったのに、全然淋しくもない。
何だったのか私はいぶかった。「あ、待てよ、私は大勢の人に会っては別れた。
そのいつも会うた人の眼の中にいる自分といつも二人連れだったのだと、合点しました。
 間違いない。私はもう一人の私といつも二人でいたのだ」と。

 こんな私の述懐に棋友(故江口武雄)の合いの手が入った。

「凄い体験ですね。西国八十八ヶ所めぐりという信心詣りがあるでしょう。
これは〈同行二人〉といって弘法大師と私と二人連れ添うて、ということなんです」
 そういえば、
亡き母が「私はいつも阿弥陀さんと一緒です」と口癖のように言っていました)

 それが碁を通じて、一人一人お会いする棋友の中に私が生きていくことになり、
その人たちが群れをなしていった。それが「碁吉会」であると、確信しています。

  (以上は私の主宰する碁吉会の碁吉憲章に謳い挙げた一節です)

 得難きものは友。一緒に居るだけで楽しくなれるのが友。
今日ここにお越し戴いた40人に余る友人は私が永の年月に親しくなった友人です。

 友達の友達は皆友達。どなた様も気分よく楽しくなる友ばかりです。
本日はぶつかりそうな狭さの中、右見ても左見ても素敵な友ばかりです。
幾らでも触れ合いが出来ます。さあ、飲もうと歌おうと、しゃべろうと笑おうと、
今日の丸一日は存分にお楽しみ下さい。

                                        乾杯