「1局 いかが」

・・・310qのバスの中で・・・

                             赤田 徳子

晴天に恵まれた私たち一行は、現地ガイドのシナンさんと
「ギュナイトウン」(おはよう御座います) 朝の挨拶を交わし
 専用バスでスタートしました。

今日は6月15日(火曜日)トルコツアーも、はや第7日目。
 カッパドキヤから トルコの首都アンカラへ310kmの移動をします。

 昨日見学したカッパドキヤは世界遺産です。
 トルコ中央部のアナトリア高原に広がるユニークな景色から
 トルコで最も人気のある観光地となっています。

道すがらの光景は
長い年月の間に雨と風が凝灰岩を浸食した
とても珍しい形の谷、クレパス、峡谷、を形成しており、
火山錐はキノコやトンガリ帽子のように尖がった三角形の岩峰となり、
どこまでも連なっていました。

その真ん中にあるギョレメ谷の地下洞窟にも入りました。
大昔から人の住んでいた洞窟は何万人もの住宅でもあり、
 宗教上身を守るために岩窟の教会もありました。
頑丈な石の扉の下に隠れた八階もある地下都市も建設されていました。

カッパドキアを後にしてバスは走ります。
バスの中で、高野先生と吉野さんが通路を挟んで着席されています。

「1局いかが」

対局が始まりました。
拡大コピーした碁罫紙がホルダーの上で碁盤になりました。
黒ー赤(しろ)ー黒ー赤(しろ)ー1字ずつの数字が石となり
 棋譜をとるように進んでいきます。

私は吉野さんの窓側の席で観戦させて頂きました。
楽しいユーモアいっぱいの伴奏付です。
吉野さんから考え方の解説も受け、とても幸せです。
いつも「3手以上先まで考えるように」と注意されている私にとって
一手一手の解説はためになり、碁の深さ、広さに驚きです。

 バスは何処までも何処までも続いている1本の道路を走っています。
お二人とも打ちながら、
ガイドさんの説明も外の景色も吸収されているようです。

ここシルクロードをひた走る窓外には
両側には広大な畑が続き、遠くの丘の上には集落も見え、
ヤギや羊ものどかに群れをなしています。
トルコの富士山とも思えるエルジャシ山(3917m)が冠雪して、
 雲ひとつないトルコブルーの空にそびえていました。

その昔
ラクダのキャラバン隊が絹織物や手工業品を積んで通過した
キャラバンサライ(隊商宿)の遺跡にも立ち寄りました。
人もラクダも此処に泊まり疲れを癒したのでしょう。

やがて
 白い大きな塩水湖のチュズ湖も広がってきました。
湖岸のドライブインに着き、対局は中断。
 バスから降りて見学です。

湖が干上がって100km以上続くといわれる白い塩上を歩きました。
まるで凍った雪のざらざらした上を歩いているようです。
なめてみると甘い塩辛さです。

 必需品の水を買いました。場所によって値段が違います。
  ミネラルウオーター500mlボトルが500000TL〜2000000TL
  WC使用料もまちまちで、250000TL〜500000TL
注:TRはトルコリラ

トルコはかって強烈なインフレのせいで、あまりにも多い0の数です。
今ではインフレも治まり、平静を取り戻していますが・・・ 

 10000000TL は700円ほどです。
私たちは100万円と呼んでいました。
有料トイレ3人分が利用できる価値です。

私たちの頭の中はパニックになりました。
子どもたちもたいへんでしょうね、きっと。

トルコがEUに加盟するために、
来年から0を6つ取ることになっていると、聞きました。

 バスに戻り、お2人の対局は続きました。
もうすぐ首都・アンカラ。
  結果はやがて打ち掛けとされました。

アンカラではアナトリア文明博物館等を見学して
 夜は寝台列車「アンカラエキスプレス」の1等寝台で1泊しながら
 明朝8時にイスタンブールに着きます。



先番 吉野従生 白番 高野圭介
143手以降 打ち掛け

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